大学1年 ―シルエットー
第50話 「電話に出られません」
カンキ君と先輩が感動の再開を果たした日の翌日と翌翌日、俺は東橘病院に電話をしていた。
目を覚ました先輩から、是非、式美先生に会わせてほしいとお願いされたためだ。俺は先生とは最悪の別れ方をしていたので、電話をしたくなかったが、雄馬も絶対電話したくないと言うので、仕方なく俺がすることになった。
ちなみに、式美先生と喧嘩別れしたことを先輩に話したら「なんて事したんや!」と怒られた。
「また、駄目だった……」
俺は落胆して電話を切った。今ので、3回連続で「先生は今、出られません」と回答されたからだ。いつなら電話に出てくれるのかを聞いても、急に手術等が入るから答えられないと言われてしまった。折り返しの電話も頼んだが、現在受診してるわけでもない患者さんなので、そういった事は約束できないと断られた。
「あー。たぶん俺、避けられてるわ。まぁ、そりゃそうか……」
隣にいた雄馬が「わりぃな、オレが電話できなくて」と頭を掻いて言った。
雄馬は1年前に精密検査をドタキャンしてから気まずくて病院に行けなくなり、そのままになっているため電話がかけられないのだという。
「はぁ、仕方ない。それじゃ、あと2、3回電話して駄目だったら、最後の手段を使おう」
「OK。じゃあ、そん時のために、オレが下見行っとくわ」
「ああ、頼んだ」
俺はスマホのカレンダーを確認しながら、先生に会ったら、まず何から話すべきか考えていた。
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