40話 金髪美少女とのイチャイチャ
『実を言うとね、シュウトが私に好意を持ってくれてたのは薄々気づいてたんだよ?』
『えっ、そうなの?』
『だってシュウト分かりやすいんだもん。あからさまに素直になるし』
屋上で二人の時間を噛み締めていると、隣で座っていたイヴに突然のカミングアウトをくらう。
衝撃的すぎて、思わず素が出てしまった。
『い、いつから……?』
『シュウトがパパとママのことを話してくれた辺りからかなぁ』
ドンピシャだ。
ということは、俺のイヴに対する好意は始めから彼女に知られていたってことか……?
でも、そうすればいろいろと納得がいく。
あの夜、俺がイヴの言葉に感じた“我慢しなくてもいいよ”という言葉の意図。
思えば最近彼女から直接“付き合って”と言われなくなった気がする。
それもこれもすべて、俺からの好意に気づいていたから。
そう思うと、気づかれていてよかったかもしれない。
『そんなに素直になってたか?』
『そりゃあもう。ツンデレのキャラ崩壊だよ』
『なら、まぁ……よかったのか?』
『ツンデレシュウトも可愛かったから、私はあのままでもよかったけどね』
『でも、そうなったら俺はずっとイヴに素っ気なく当たるんだぞ』
『むぅ……それは嫌かも』
『だろ? だから素直になってよかったんだよ、俺だって素直になりたかったし』
俺だって素っ気なく当たりたくて当たっていたわけじゃない。
好きな人にツンデレが良かったと言われればそれはそれで複雑な気持ちになるが、俺は素直に彼女との愛を共有したかった。
『でも、それだとシュウトのツンデレはもう見れないんでしょ? ちょっと寂しいなぁ』
落ちていく太陽を見上げるイヴ。
その顔はどこか切なくて、本当に寂しがっているようだった。
今の俺は彼女に素っ気なく当たることもできないし、できてもしたくない。
だから彼女の願いは叶えてあげられないが、何とかして彼女を元気づけてあげたかった。
そうして悩みに悩んだ末、俺は彼女を咄嗟に抱きしめていた。
『確かに、もうツンデレは見せてあげられない。でも俺がいなくなったわけじゃないから……その……』
ダメだ、オチの言葉が見当たらない。
もっとちゃんと考えてから行動に移すべきだったと後悔していると、耳元で嬉しそうに笑うイヴの声が聞こえた。
『もしかして、私を元気づけようとしてくれてる?』
『だって、本当に寂しそうに見えたから』
『シュウト、男らしくなったね。セリフ回しとか』
『俺はいつだって男らしいだろ。そう見えるように心がけてたし』
『ツンデレしてる時はとっても可愛かったけど』
『い、言うなっ』
恥ずかしさを紛らわすようにより強く抱きしめたのに、さっきよりも大きく笑うイヴのせいで全く紛らわすことができない。
おかげで口を噤むことしか出来なくなっていれば、ひとしきり笑い終えたイヴにそっと抱きしめられた。
『……ありがとう、元気出た』
『なら、よかった』
そうして、俺たちの間に再び静寂が訪れる。
好意がバレていたことに、不思議と羞恥は感じなかった。
むしろバレていてよかったと安心すらしている。
この静寂も心地が良くて、服越しに伝わってくるイヴの温もりはとても暖かい。
ずっとこのままでいられたらいいのに。
そう思ってしまうくらい、俺はイヴが大好きだった。
『……ずっとこのままでいられたらいいのに』
『俺も全く同じこと思った』
『ほんと?』
『うん』
『早く一緒になりたいから、頑張って怖いの克服してね。……まぁ、無理はしなくていいけど』
『あぁ、分かってる』
どうやったら克服できるか、少しずつ模索していこう。
俺も早くイヴと一緒になりたい。
無理はできるかもしれないけど、それだとイヴに迷惑をかけるからな。
無理のない範囲で、ちょっとずつ、でも少し急いで、イヴの想いを受け止められるようになろう。
『……頑張るよ』
俺は彼女に誓うように、再び強く抱きしめながら言うのだった。
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