第24話 翠

#24



碧愛達から事情を聞いてから2、3日が経ったがあれから特に進展はないらしい。碧愛が先生にまた相談に行ったが、どうもならないらしく橙愛だけでなく六つ子全員が陰口を言われたり無視されたりしてるらしい。碧愛曰く、どうせ6人で一緒にいるから問題ないらしいが、あと紅愛と仲のいい子が1人味方になっていてくれてそれが嬉しいとか。


みんなのことを心配しつつ大学へと向かう、本当は大学に行かずにみんなについていきたいけどね。


3限目の講義を受けている時、携帯に知らない番号から電話がかかってきた。


「もしもし、白金です」

「伊里須さん達の、担任の保新笑です。娘さん達が問題を起こしたので学校に来てもらうことはできますか?」

「わかりました。今すぐ向かいます」


あのことで何かあったのだろう。

急いで学校に行ってなんとかしてあげたい、講義の途中ではあるが荷物を持ち、大学を後にし小学校へと向かう。


小学校に着くと子供達がいるであろう教室へと向かう。


「白金さん、突然の連絡ですが、お越しださりありがとうございます。

今日の昼休みに愛翠さんがクラスメイトの葛山粕未さんにビンタをしまして。そのご報告と、あとは愛翠さん達が絶対に謝らないと言っていまして、どうにかして頂けないかと」

「えぇ、わかりました。一旦話を聞かせてもらってもよろしいですか?」

「どうぞ、宜しくお願いします」


子供達が集まっているところへ行き、事情を話してもらう。


「真白くん!大学はどうしたのよ?」

「そんなのどうだっていいよ。碧愛たちの方が大切だ」

「お兄さんありがとうございます…」

「愛翠、何があったか話してくれないか?殴ったのは何か事情があったんだろ?」

「男子を振ったくらいでと思うけど、あの子達が私の悪口を言うのは我慢できたよー。でも、私以外の姉妹のことを悪く言うのは許せないなー。それに、今日は『六つ子を産むなんて伊里須さん達のママはおかしいよね』ってママのことまでバカにしてきたから我慢できなかったからやったのー!

謝るなんて絶対にしないからねー」

「そうか、わかった。話してくれてありがとうな。

謝る必要なんてないから、愛翠は間違っていないから俺がなんとかするよ」

「「「「お兄さん…」」」」

「真白くん…」

「真白にい…」


愛翠は手を出したのは悪い、だがしかしこれは相手の自業自得だろう、こちらが悪いようにされる謂れはないのだ。


「先生、子供達から話を聞いてますよね?

愛翠が謝る必要は無いと思います。そもそも、先生はクラスで問題が起きてるのになんで対応してくださらないんですか?」


「ええと、なんのことか分かりかねますが手を出したのは愛翠さんですし謝っていただかないことには…。

葛山さん達はやってないと言っていますし、なんとかしてもらわないと」


「子供達が録音した証拠があります。まだそんなこといいますか?」


「っ…。ええと、私の方でもう一度確認してみるので今日のところは一旦終わりにしましょう」


「子供達を馬鹿にするなよ!子供達から助けてって言われているのに自分のことしか考えてないなんてありえない。愛翠はいつも笑顔でみんなでいる時に盛り上げて明るくしてくれてるのに、その愛翠をこんなに悲しい顔をさせるなんておかしいだろ!毎日泣いてるんだからな!俺はそんなの許せない、どうなってでもいじめなんて終わらせてやる」


しらを切るつもりなのだろうが、そうはさせない。あらかじめ呼んでおいた校長先生を教室に入ってもらうのだ。


「保新先生、いじめの報告が私のところに来ていないのですが。学校で取り決めていた対応法とはずいぶん違いますね?」


「こ、校長先生!ま、まだ調査中でしたので、ご報告するまで無いと思っておりました。再調査し、結果を報告しようと思います…」


「私と他の先生達でやるからあなたは何もしなくていいです。あなたの処遇についてはこの件が終わり次第決定するので大人しくしておいてください」


校長先生、かっこいいな。これでいじめはなくなるはず、まさか担任がこんな酷い人だとは思わなかった。

担任は肩を落とし教室から出て行ってしまった。


「校長先生、今回はありがとうございます」

「あの真白くんが頑張って子ども達を育てているんだから、私もその力になりたいからね。よくできてるみたいで私も嬉しいですよ。あとは私が始末しておきますからね」


そういうと、校長先生も今日から出ていく。

やっと話し合いが終わった。子供達はなんとかなりそうだと少し安心したようだ、早く家に帰ってみんなで休もう。

俺たちは学校を後にする。



この話し合いのあと、他の先生達によっていじめの調査が行われ、粕未たちに言われていじめに嫌々加担させられていた子達からの証言や録音などからいじめがあったと認められた。粕未たちの親はすごくまともな方々で、後から謝罪に来て平身低頭という感じになっていた。

他のクラスメイト達からも謝罪され、ビンタしたこともこちらから謝り一件落着となり終わった。

あの担任の先生は担任から外れ、別の先生が新しく担任の先生となることが決定した。


色々あったけど、なんとか解決?できて良かった。


「真白おにーさん!」


なんか最近愛翠の距離が近いんだけど碧愛なんか知らない?って碧愛と紅愛がこっち睨んでるんだけどー!

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