第17話 運動会開幕
10月も半ばになり、今日は子供達の通う小学校の運動会だ。
昨日の夕方は小学校のグラウンドまで場所取りに来て、なかなかいい場所を獲得したため子供達の活躍を見れるはず。
碧愛はあれからも毎日欠かさずに練習をしていたしあおいと2人で練習してる時に橙愛が一緒にやるぞとか言って参加することもあった。そんな時は決まって「ちょっと橙愛読んでないのだけれど!とかせっかくの練習なのに…。とか他にも色々言っているみたいだがほとんどはよく聞こえないのだ。
俺が用事があって参加できない時は、橙愛だけじゃなくて愛紫や愛翠など姉妹みんなで走っていたみたいだ。
その日あったことは夕飯作りの時に橙愛が教えてくれるから大体のことは知れているはず、橙愛は隠し事なんてしないよな…?
学校へ向かう前、碧愛に呼び止められた。
「真白くん、ちゃんと私のこと見ててよね?
べ、別に1番になって褒められたいとか思ってないんだからね!練習に付き合ってもらったからその成果を見てほしいのよ…。」
「わかってるよ。俺が1番碧愛のこと見てるからさ」
「な、な、何を言っているのかしら?へ、変なことばかり言うんじゃないわよ!」
また、怒って行ってしまった。最近こう言うの多いな、好かれて来てるのか嫌われているのかどっちなんだい!
子供達と車で学校へ向かい着くとみんなは一旦校舎へ、俺や他の保護者はグラウンドへ向かう。
この日のために新調したデジタル一眼レフで子供達の活躍は一瞬たりとも逃さないぜ!ハハハ!変な事を考えていたら周りの保護者になんだこいつはという目で見られてしまった。すみません、ちゃんと保護者なんで安心してください。
そうこうしているうちに、運動会の入場行進が始まる。
紅愛、橙愛、愛紫は白組で碧愛、愛翠、愛黄は紅組のようだ。
橙愛は行進中、こちらに気づくと満面の笑みで大きく手を振ってくる。うんうん、可愛いな。シャッターを切る手が止まらないぜ。
碧愛はこちらに目が合うとすぐに逸らしたが手元で見えるか見えないかというような感じで小さく手を振っていた。碧愛が手を振るなんてレアすぎるね。これは写真を撮るしかない。
愛黄もこっちに手を振ってくれてる。写真を撮るのが止まらないな。
紅愛や愛翠、愛紫は目が合うと軽く頭を下げる感じ、温度差を、感じてしまい悲しい。もっと仲良くなりたい…。
運動会はどんどん進んでいき午前に行われる競技の球入れと綱引きが終わり、お昼休憩の時間になる。
「お腹すいたぞ!」
「おなかへったなの」
「お弁当、楽しみ、ね」
「えぇ、お腹へったわね」
「だよねー」
「みんな食べる前には手を洗ってよね」
みんな運動したからお腹が空いているようだな。うん、紅愛はこんな時でもしっかりしてるね、さすがです。
「今日はみんなの好きなものを入れて来たからたくさん食べてくれ」
子供達が普段喜んで食べているものを入れて来たし、運動会お弁当特別バージョンだからいつもより気合が入っている。
「唐揚げだぞ!」
「タルタル付きのエビフライなの!」
「ハンバーグにポテトサラダまであるわね」
ふはは!
唐揚げは2度あげでサクサクにしてあるし時間が経っても美味しいように漬け時間を長くしてある。エビフライには特製の玉ねぎをたくさん入れて食感を感じられるタルタルソースをつけてあるのだ!
「美味しいねー」
「ん、美味」
「お兄さんありがとうございます」
「真白にいありがとうだぞ!」
「ありがとうなの」
みんな喜んでくれて何よりだ。
午後の競技は100m走とリレーがあり、橙愛はリレーにも出るみたいだ。
午後もたくさん写真を撮らないとな。
お弁当を食べ終わり、みんなが待機場所に戻ろうとしていたが、碧愛だけが残っていた。
自信を持った強い気持ちの見える目でこちらを見つめている。
「絶対1位になるから、それだけよ」
「きっと大丈夫、碧愛、自分を信じて」
言葉を交わすとみんなのもとへと向かっていく。
碧愛頑張れ、あれだけ練習したのだから心配することなんてない。
午後の競技がこれから始まる。
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