第15話 変化
この前の一件以来、碧愛が家に帰ってきてから一緒に走る練習をするようになった。
碧愛は元々の体力が少なかったためゆっくりのスピードで走って体力を増やすことから始めた。
体力がついてきたら碧愛の一番の問題点であった走るフォームを変える。
碧愛は体力がないせいで走るうちに重心がどんどん後ろにいき、加速ができないでいた。
「そうそう、腰は曲げずに背筋を伸ばして胸を張って…」
「こ、こうかしら?」
「できてる!あとは腕を大きく振って、体から無駄な力をつけばいい感じ」
「ええと、こうかしら。あ!前よりも早くなってる気がするわ!」
「おお!すごいぞ碧愛!前より断然早くなってる!」
「真白くん…。ありがとね、感謝するわ。あなたのおかげでなんというか。気持ちは軽くなったし、こうやって練習に付き合ってくれて早く走れるようにもなってきた…。
ありがとう!」
「碧愛が元気になったのなら、俺はそれだけで嬉しいよ。ほんとよかったな。碧愛はちゃんと努力できる子だから、いろんなことをやっていくうちに自分の得意なことが見つかって何にでもなれると思う」
「ふーん。でも、走るのはほんとに真白くんのおかげよ?でもまだまだ早くなるために頑張るんだから。これからも手伝ってよね?」
「おう」
碧愛は元気になったみたいだ。
悩みやコンプレックスが完全に消えてなくなることはないかもしれない。
でも、それが少しでも軽くなるなら、自分に自信が持てるようになるなら、いつだって俺が力になりたいと思う。
悩んでいるならいつでも相談にのってなんだってしてやりたい。
碧愛が俺を信用してくれ始めたように、俺だってみんなといて愛情が湧いている。
みんなのことは俺が守っていきたい、そう思うんだ。
練習を切り上げて家に入ろうとする。
「よし、碧愛そろそろ暗くなってきたから家に入るぞー」
「はーい、って。ちょ、ちょっと近いわよ!今汗かいてるんだから!気をつけてよね?」
「ん?ごめん。俺汗臭かったよね」
「え?違うわよ!べ、別に臭くなかったんだからね?む、むしろ汗の匂いがいい匂いでもっと嗅ぎたいとか?汗をかいてる姿がかっこいいとか思ってないし?わ、私が気になるっていうか?臭いとか思われたくないし…?べべべ別に?真白くんはいい匂いを嗅いでほしいとか思ってないし…?」
大きな音と共に強い風が吹く。
「え?今、なんて言ってたか、よく聞こえなかったな」
「な、なんでもないわよ!早くいくわよ!」
碧愛は少し怒って先に行ってしまった。
最近こう言うことがよくある、俺なんかしたかな、思春期かな?女の子の思春期難しいな。
はぁ今度制汗スプレーでも買っとこう。橙愛とかに臭いって言われたら流石に立ち直れないし…。
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