第12話 碧
朝の会の終わる頃、担任の先生から夏休み明けのテストの結果が返された。
「今日の授業ではテストの振り返りをしますからね」
私の点数は少し間違えてしまったけどどれも高得点だ。
「全部80台点だったぞ!」
「もちろん、わた、しは、100点」
「ボクは90点取れたなの」
「私も〜」
「みんなすごいね!」
「…」
愛紫たちは高得点が取れているようだ、お姉ちゃんは嬉しいです。でも碧愛だけは余り良くなかったのかもしれない。1人だけテストの話には入ってこなかった。
「来月は運動会があります。伊里須さん達はまだ100m走の記録とってなかったから今日とりましょうね」
会の最後に、担任の先生から運動があると言われた。団体競技では玉入れや、綱引きがあるらしい。
「走るぞ!」
「走るのです!」
「…」
運動大好きな橙愛は喜んでるけど、碧愛はめんどくさそうにしている。まぁ私も少しめんどくさいと思ってしまう。転校してすぐ運動会っていうのも実感が湧かない。
放課後になり、先生と私たちはグラウンドに集まる。体操着に着替えて走る準備は万端だ。
「今日計測したタイムを基準として本番の走る組み合わせが決まるので頑張ってくださいね」
「頑張るぞ!」
スタートラインに横一列で並ぶ。そして、スタートの構えを取る。
「みなさん位置について、よーい、どん!」
先生のするスタートの合図により一斉に走り出す。橙愛が圧倒的に速く走り、ゴールラインを走り抜けて一着となった。その後、愛翠や愛黄たちが続々とゴールをするが、碧愛だけは遅れてゴールをした。
「1番だぞ!」
「むむ、橙愛、やっぱり、速い」
「早すぎるなの〜」
「さすがだね〜」
「橙愛はすごいね!」
「…」
さすがは橙愛だ。私たちでは追いつけない速さだったし、走ってる姿も可愛かった。橙愛以外は大体みんな同じような速さだったけど、運動が苦手な碧愛だけ遅れていた。碧愛の表情はどこか暗かった。
走り終わってからもなんだか静かだし心配だな…。帰りのバスの中、難しい顔をしていた碧愛が気になり話しかける。
「碧愛、どうかした?大丈夫?」
「大丈夫よ」
「お姉ちゃん心配なんだけど、ほんとに大丈夫?」
「だから!何もないと言っているわ!!」
碧愛が大声で反応する。まさかの反応で驚いてしまった。
こんなに大声を出すなんて初めてかもしれない。
他の妹達がこっちを見て驚いている。
「ごめん…」
「…」
すぐに謝るが、碧愛からは何も帰ってこない。
どうしたんだろう。
どう考えてもどうすれば良いのか何もわからないのであった。
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