第11話 もりもりご飯でみなぎる元気

 しばらく経ったある日のこと

 引き取ってからもう1ヶ月以上経つし、みんなと仲良くなってきたんじゃなかろうか。

 そんなことを考えながら夕飯を作りはじめようとすると、リビングにあるテレビを見ていた橙愛がこちらへとやってくる。


「橙愛がごはん作るの手伝うぞ!」

「お!!ほんとか?ありがとう!」

「何作るのだ?」


 1番打ち解けてると思っていた橙愛がなんと手伝いに来てくれた。これは嬉しい。

 君が夕飯作りを手伝ってくれるなら今日はなんとか記念日。

 なんてね、ははは。橙愛は固まってる、今の子供達は知らないかな?教科書とかに載ってると思ってたよ。

「それじゃあ、今日はハンバーグにしようか。橙愛はお肉混ぜる係ね」

「ハンバーグ好きだぞー!橙愛が混ぜるぞー!」


 牛肉と豚肉が合挽されたお肉をボウルに入れ、軽く炒めた玉ねぎを冷ましてから投入する。玉ねぎの食感をある程度残すのがポイントだ。そこに、繋ぎを入れたら、橙愛の出番だ。


「よし橙愛たのんだ」

「まかせるんだぞー!まぜまぜだぞ!」


 橙愛がリズム良くお肉を混ぜていく、少しこぼれたりしているが気にしない。何事も褒めて伸ばすスタイルなのだ。


「出来たぞー!」

「おぉ、うまいね。ありがとう」

「へへーんだぞ」

「あとは、俺がやるから、焼いている間にみんなでお風呂入ってきてね」


 残りはパパッと終わらせる。形を整えって焼くだけだ。


 □□□


「今日もアニメは面白いわね」

「まさか血のおかげで勝つなんてねー」

「パンチ、当たって、た」


 私たちは宿題をやり終えみんなでアニメの再放送を見ていた。みんなアニメが好きだから真剣だ。やはり、国民的アニメだから面白さが違うのだ。

 アニメを見終えてから、感想を言いつつ余韻に浸っていたが、ふとキッチンの方へ顔を向ける。いつもならアニメを熱心に見ているはずの橙愛がお兄さんのところへと行っていたからだ。


「橙愛は懐くのが早いわね」

「さすが橙愛なの」

「橙愛って感じだよねー」


 橙愛は人懐っこいが大人が苦手だったはず。お兄さんの美味しい料理と優しさによって橙愛も気を許したのだろう。まぁ8割型ご飯のおかげだと思う。前は、ご飯をいっぱい食べることなんてできなかった。姉妹の中でも人1番食いしん坊な橙愛はいつもお腹を空かせていたから今の生活は幸せなんだろう。だとしても


「「「「「ちょろすぎる…」なの」わね」ー」、」


 みんなで同じことを考えていた。


「みんなー!お風呂に入るぞ!」


橙愛が戻ってきたので、この話題はおしまい。早くお風呂に入ろう。



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