第3話 姉妹ミーティング



夜は9時過ぎ床に敷かれた布団の上で少女たちは円になって向かい合っている。


「ちょっとクレ姉どういうつもり?」


初めに口を開いた、碧愛は少し怒ったように声をあげる。

会ったばかりの何も知らないような、信頼のできない人についていくことが嫌だと感じている。

紅愛が自分たちのことを大事に思っていることを知っているからこそ納得ができない。


「大丈夫」

「何が大丈夫なのよ。いきなりあんなのの家に行くなんてなにされるかわからないじゃない。もう辛いのは嫌よ。」

「透子さんの弟って言ってたし、変なことなんてしないでしょ。それになんか大丈夫な気がしたから。それにあの人からは悪意とかそういう感じがなかった…」

「私もそう、思う。あの人、悪いこと、考えてない。優しい人。大丈夫。」


紅愛の言葉に愛紫が同意する。

その言葉に一同は目を見開いて驚く。

愛紫からまさか賛同されるとは思っていなかった。


「はぁぁ…あんたが言うなら、そうするしかないじゃない…」


愛紫から言われたら仕方ないといった様子で、碧愛は渋々受け入れるようだ。

愛紫の言うことを全員疑うことなく信じている。

愛紫は人の表情などから相手の考えていることがなんとなくわかるのだ。


「あまり初対面で顔をジロジロ見ない方がいいわよ。何されるかわからないし」


今まで真剣に話を聞いていた碧愛が口を開いた。


「うぅ…怖い…」


泣きそうな顔になる橙愛に、愛翠が続ける。


「気をつけなきゃね。施設に行くことになったら終わりだよ」


彼女たちはどうしても施設に行くわけにはいかなかった。

この世界の施設は最悪の場所で命の危険があると言われている。


「大丈夫だから、私がみんなを守るから。

明日は移動だしもうみんな寝ようね」



紅愛を最後に話すのをやめ、次々と寝始めて行く。

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