第3話「咲花先生の運動能力」
まだまだ春の息吹が吹く中、一年B組である
咲花先生を階段から突き落とさなければ、小学生の時に貴人が授業中に小便を漏らしたことを言うと言った三人組の生徒。泣く泣く実行する貴人は、タイミングを見計らって階段から先生を突き落とす。
「すみません!」
そう言って突き落とした貴人は、そこで咲花先生のとんでもない運動能力を見る。先生は落下しながら空中で体勢を整えて、階段に手をついて体のバネを使って跳び、踊り場に着地した。
そしてその動きに見とれていた貴人を猛ダッシュで追いかけ、何故こんなことをしたのかを問いただす。
「じ、実は……」
貴人は事情を話してイジメられていた事を言った。それを聞いて頷いた先生は少しの間考えて、先生に名案があると言った。
咲花先生は貴人をイジメていた三人組のところに貴人と一緒に向かう。そして三人組に詰め寄りこう言った。先生と腕相撲をして、勝ったら石塚君をもうイジメないことを約束しなさいと。
三人組側が勝ったらどうするんだ? という問いに対して、先生が誰か一人にでも負けたら奴隷でも何でも好きなようにすればいいと言う先生。
観客になる生徒たちの集まりの中、咲花先生と三人組の戦いが始まる。まず一人目は様子見の細い子、先生は椅子に座って机に構える。
手を取り始まる、細い子は力を込めた。だから先生はビクともしない。そして徐々に押され細い子の腕は机につく。
次の子は太い子。筋力にも自信があるようだ。これで決まると思われていた。咲花先生より大きい子だったからだ。だが咲花先生はフフンと笑った。余裕の笑みで構える。
手を取り始める、太い子は力いっぱい倒そうとした。体重もかけている。だが先生はビクともしない。少しずつ押していき太い子の手を机に倒した。
次の子は運動部の子だった。もう咲花先生の奴隷行きは決まったようなものだ、と誰もが思った。その子は力こぶを見せた。だが咲花先生はニヤリと笑うだけで何も言わない。
手を取り始めた、運動部の子は一気に決めようとする。血管も浮かぶ程筋肉に力が入っている。だが先生はビクともしない。嘘だろと言いながらも押されて倒される運動部の子。
三人組は見事に負けた。
「約束は守りなさいよ?」
そう問う先生。貴人をイジメるのを止めると言わせた先生は言う。
「石塚君、あなたがこれからどういう風に過ごすかはあなたの自由よ。でも逃げちゃいけないわ」
「分かりました……! ありがとうございます」
その返事に咲花先生は満足して職員室に帰っていった。
次の日授業が終わった休み時間に咲花先生は貴人に声をかけられた。ありがとうございました! と元気よく言う貴人に手招きして屈ませる。頭を撫でた先生は、これからはちゃんと強く生きなさいと言って貴人を励ます。
更に三人組も声をかけてきて、今度こそ腕相撲で勝つから勝負して欲しいと言ってくる。どうやら腕相撲で勝つためのコツを調べてきたようだ。
「仕方ないわね」
勝負を受ける咲花先生。何の条件もなしに腕相撲する。だが三人組はどう頑張っても先生に勝てなかった。悔しがる三人組は、どうしてそんなに強いのかを尋ねる。内緒と言う先生はウインクして職員室に戻る。
放課後先日のことを見ていたA組の生徒が先生に詰め寄る。先生はムキムキマッチョなのかと女生徒が先生の腕に触りまくってきた。
ホームルームも終わったのだから帰りなさいと言う先生に腕相撲勝負をしようと言う生徒たち。やれやれといった風に椅子に座り机で構える。
腕相撲勝負で誰も咲花先生に勝てなかった。大鷹優斗も挑戦してみたが、全然敵わない。優斗は同じA組の天谷賢也もやってみなよと誘う。
賢也はくだらないと言って帰って行った。優斗は追いかけていく。いつも一人でいる賢也と仲良くなりたかった。それは賢也なら親友と呼べる人になるかもしれないという想いからだった。
生徒たちも飽きて帰っていく。全くもう! まだまだ子供なんだからと言って呆れる先生は窓から放課後の部活動に勤しむ生徒たちを見ていた。
下校する生徒を見送り、職員室に戻る咲花先生。仕事は山積みだ、急いで終わらせなければならない。そんな中、咲花先生はテキパキと終わらせて次の行動に移っていた。
コーヒーを淹れて先生たちに配っていく。先生同士の交流も大切だ。もう終わらせたんですか? と驚かれる咲花先生。
先生たちも一息いれて会話する。それにしても身長低すぎるでしょ咲花先生! と言われ照れる先生。もっと肉食べないとダメですよなど言われて笑う咲花先生は、先程生徒たちと腕相撲した事を話す。
全員に勝ったことを言うと、それなら俺と腕相撲しましょうよと体育の先生が詰め寄ってくる。勿論いいですよ、と受けた先生は職員室で腕相撲する。
勝ったのは咲花先生だった。体育の先生はタジタジだ。体育の先生に呆れる半分、咲花先生への注目が集まる。国語教師が体育教師に腕相撲で勝つ、これ程湧き上がる事はない。
体育の先生から普段筋トレしているのかを聞かれる咲花先生。いつもの筋トレメニューを聞いて驚く体育の先生は、自分もそれくらい出来るようになろうとやる気満々だった。
教頭先生が来て早く仕事を終わらせるように言う。終わらない先生は持ち帰って仕事をする。過酷な仕事だ。
咲花先生も他の先生の印刷の邪魔をしないように、印刷は家でする。メモリーカードにデータを入れて持ち帰って仕事をする。勿論許可を取ってだ。
家は祖父との二人暮し、今頃ご飯を作って待ってくれているだろう。帰る準備をして家に帰った。
家に帰るとまず筋トレから始める。ご飯を食べて筋トレをする。印刷する作業をしてプリンターが印刷してる間、風呂に入り上がった後、湯冷めしないように体を拭いて着替えてストレッチをする。プリンターから出た印刷された紙を全てチェックして寝る前の筋トレ。
睡眠時間はきっちりとって早寝早起き。朝起きたらランニングとそれから筋トレ。国語教師としての本読みを終えてから出勤する。
朝一番に来る咲花先生に次にやってきた校長先生が話しかけた。この学校には慣れられそうですか? と尋ねる校長先生に、はい! と元気に答える咲花先生は笑顔だった。その笑顔を忘れないようにしてくださいね、と校長室に向かう校長先生。
咲花先生はまだ誰もいない職員室に着いてから、本読みを始める。誰よりも教科書の内容を理解できるようにしっかり内容を吟味し直す先生。
やがて他の先生もやってくる。おはようございますと挨拶して校門挨拶係の先生を待つ。電話があってどうやら遅れてくるらしい。ならばと咲花先生が手を上げる。
早朝に部活動にやってくる生徒もいる。少しでも生徒の事を知りたい咲花先生は、校門挨拶係に任命された。校門で挨拶する咲花先生。
笑顔で挨拶する先生につられて笑顔になる生徒たち。朝早く立っている先生はまだ春の初めで寒くないのか心配になる。ギリギリに登校してくる生徒たちも含めて登校時間内に来た生徒に挨拶する先生。
咲花先生は一年A組に向かいショートホームルームを行う。何か学校生活における問題点があればここで意見し合えたらと思う先生。
何も意見が出ずそのままになるのは普通の事、それでも小さな事でもいいから何か発見があればと思う。
だがその日のショートホームルームも何事もなく終わる。いい事だ、いい事のはずだ。自分に言い聞かせて締め括る咲花先生。
何もなければそれでいい、先生はそう思っていた。ただこの時先生は、
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