第3話 戻る魔法

〈???視点〉


瓦礫の中から出てきた彼からはとても人間とは思えないほどの強大な、そしてとてもきれいな魔力を放出して姿を表した。

彼の目はこれからの未来を見ている。そして、人間に対して強い恨みのようなにかがあるように見えてしまった。


「………お前は………何者なんだ……」


そんな教員の問いに彼は、約50人の学園生徒の首を一瞬で刈り取り、血を操り謎の剣を造り出した彼は、『魔王』とそう答えた。




彼のこの答えに私はなんと思ったのだろう、彼に立ち向かい、皆を守らなければ。そう考えていたのか?

違う。確かに私の立場上は皆を守らなければいけないのかもしれない。でも私はこう思ってしまったのだ。


もっと。もっと殺せと、魔王を名乗る彼の行動を支持してしまった。例え口に出してはいないとはいえ、これはあってはならないことなのだ。

なのに、なのに、思ってしまう。腐っているなと、周りと永遠に比べられる今までの人生に、疲れていたのだろうか私は彼の行動に自然と笑みをこぼしていた。


私はこの国のなのに。


◇◇


〈ノア視点に戻る〉


俺は正直驚いている。ものすっっっっっごくおどろいている。

先程、俺は後にいた観客?50人ぐらいを魔力の刃を飛ばして殺した。

なのに誰もが、この攻撃に反応できていなかった。

ここまでこの学園の人が弱かったのかと驚いている。

それにさっきの教員もだ、さっきまでの強さは何処にいったのか、魔力で作った剣で、魔力の斬撃を放っただけなのにあっさりの死んでしまった。

これでは練習にならないではないか。

仕方がないので最後はオリジナルの魔法(広範囲)の試作品を試して終わろうかな。


案外あっさり終わっちゃうな。

とても短い時間だったけどこいつらともおさらばかな?

そんなことを考えながら、魔力剣を持っている右腕を上にかざす。


今回使う予定の魔法には、2つのパターンが、ある一つは、純粋に殺すことを目的としたもの。

もう一つは、恐怖を植え付けるためもの。こっちは簡単に言えば演出みたいなものだ。そして、結果としてはこの魔法を使った相手は死なない。

そう、ね。


ふと、これから、一時的に死ぬことになる、彼らのことを見回してみた。

そのほとんどが恐怖で怯えているものと、逃げるもののみだ。


周囲に魔力の反応が感じられた。


気がついたときにはもう既に俺を多い尽くすようにして魔方陣が出ていた。

雪の結晶のような紋章がある。氷魔法だろう。

ここで何の魔法かを読むことが出きるか、魔方陣を無力化できれば良いのだけれど、そんなことを出きるのは宮廷魔法士ぐらいだろう。いや、もしかしたら魔方陣の無力化は宮廷魔法士でも無理かもしれないな。


そんなことを考えているうちに氷の粒が、いくつか飛んできた。魔法が発動したのだろう。そして、この魔法は本で読んだことがあった。


中級氷魔法。アイスレイン。


大量の氷の粒を対象に当て続ける、打撃系統の魔法。簡潔に言うと初級氷魔法のアイスショットを沢山生して連発させた感じだ。

威力はそこそこ。これなら今、周囲に漂わせている血液でも防げるだろう。


そう考えた俺は血液内の魔力密度を高めて血液を硬質化させて、身体を守る。


そのまま上げていた右腕に持っている魔力剣に大量の魔力を流し込んで魔方陣を生成する。


ふいに、観客席、それもVIP的なところに座っている、銀髪碧眼の美少女に目がいった。

彼女は周りの人間の恐怖などとは違う目をしていた。

まるで俺にもっと殺してほしいと、そう告げるかのように彼女の瞳は俺を見据えていた。


おもしろい。実におもしろい。そして、使えそうだ。

魔王ノアの配下1号にふさわしそうな彼女を俺はとっさに魔法の対象から、除外して、魔法を発動させた。


戻るターン魔法【死に戻り】ターン・デス


その瞬間。先程の少女以外の人間の首が一瞬にして、吹き飛んだ。

周りには血、血、血。全部が、さっきまで逃げ惑ったり、この状況に絶望したり、魔法で俺に立ち向かってきた奴らの血液。


先程の少女は相変わらず笑みをこぼしていた。

しかしその目には2つの感情が感じられた。

一つはもっと殺してと言うような殺意的な感情。

もう一つはなぜ私だけ生きている?

だ。


この少女に何があったのか。それは社交界などではかなり有名だ。





アリス・フォングラシア。


フォングラシア王国の第2王女で、膨大な魔力量に魔法と剣。どちらの才能を持つ人間。

しかし、彼女はその才能を評価されていなかったのだ。


魔法の才能にたけた姉の第1王女。

剣の才能にたけた妹の第3王女。


この二人がそれぞれアリスよりも大きな才能を有していながゆえに、2つの優秀な才能を持っているのに彼女常に姉と妹に比べられてきた。

 

これが俺が知っている情報なんだが、やっぱり気になってしまうな。



「なぜお前は笑っている?第2王女。」



「ッ!?」


俺の問いに対して彼女はこう答えた。


「そう、ですね…………………憎かった。お姉様と妹を回しと比べてくる皆が。ですかね」


「おもしろい。」


「え?」


「その憎悪を、復習心を忘れるな」



〈アリス視点〉


「その憎悪を、復習心を忘れるな」


そういった魔王は最後に私の耳元でこう呟いた。

「────────────────」


とても小さな声で周りには騎士団がやってくるなどの声などで沢山だった中でもしっかり聞こえた。



『話がある。今夜、王城にて』


怪しい。罠の予感だってする。でも、いかなきゃいけないきがした。


そのあと魔王は何処かにいってしまった。



私は思考に浸っていて、ただただその場にたちつくしているだけだった。


驚くべきことにその後、先程の魔王の攻撃で一斉に死んだ人間達に急に魔方陣が浮かび上がり、目の前が大きな光に埋め尽くされた。

ここで私の意識は途絶えた。







目が覚めると、周りには騎士団がいて、さっきの魔法で死んだ人は、全員生きていた。


何が起こったのかはわからない。そもそも、死んだ人間を蘇らせる魔法なんて存在しないし、彼が使った魔法も全部私の知らないものだった。


魔王ノア。ただ者ではないなと、そう思った。





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最強の魔王になってやる~転生したなら、強さを求めてやるよ~ とるっぽう @toruppou

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