第2話 虐殺の始まり
魔王になってやるよ
この決意ともに世間から‘‘魔力ゼロ’’の認識を受けてから早2年。
現在の俺は父の領地にある商業都市「アムル」にある作業場にて、国のために武器を作っている―——わけではなくて、魔王にふさわしい武器を作れないかと試行錯誤を繰り返していた。
正直言って、剣を作るのは半ばあきらめかけている。
理由は単純。 ふさわしい素材がない。
これだけだ。
魔王の剣なのだから汎用性の高いほうがいい、強度も高く魔力を通しやすい。
この条件で素材を探したけっか、一つの鉱石があてはまった。
それは、古代より存在する古の武具、いわゆるアーティファクトと呼ばれる武具にも多く使われている素材。
オリハルコン
オリハルコンは主にダンジョンなどの遺跡にある場合と、鉱脈にある場合の2種類だ。
ただ、オリハルコンは鉱脈でも少量しか採ることが出来ない故に、高額な値段で取引される。
だからこそ、武器作りはあきらめたのだ。正確には魔王の武器作り、はなんだけどね。
◇◇
『洗礼』から7年。
12歳になったノアは、魔王になるために様々な技術を身に着けていた。
例えば、今まで存在していなかった魔法を作ったり、魔王の剣はまだ作成ができていないので、魔力を固めただけの剣を作ったりと、家族関係や社交的な評価を除けば実に有意義な7年間だった。
この7年の成果の中でもノアが役立つと考えていたものの一つに、一部の姿を変えたり(主に衣類など)する魔法と、人間の髪、瞳の色を変える魔法だ。
これはノア的には魔王をするのに役立つ魔法だと思っているらしい。
他にも剣技なども騎士から習いはしたが、自分に合う感じではなかったにので魔法開発の合間に見栄えと魔力効率などを重視したオリジナルの剣術を作った。
さて、貴族は12歳になると王都にある学校に入学になくてはいけないらしい。
しかし、俺はこの学園に入学する気は天と地がひっくり返っても無い。
逆に入学式で魔王の誕生を見てもらうイベントを起こそうとしているのだ。
そして現在俺は大地をものすごい速度で駆け抜けていた。
事の発端は2日程前、本来用意されている馬車が俺には用意されてなかった。
義母曰く、魔力ゼロの能無しに徒歩がお似合いだと言われ、魔力による身体強化でここまで走ってきたのだ。王都はもう目の前だしここらで歩こう。
そんなこんなで入学式にぎりぎり間に合った。
職員曰くもう技能検査は始まっているらしい。
技能検査は、簡単に言えば、生徒と教員との決闘だ俺はこいつを使って魔王ノアの名前を売ろうと考えていた。
まず、教員の攻撃に派手に吹っ飛ばされて、壁に大穴を開けて土煙をだす。そして姿を変える魔法で服をカッコよさそうなのに変えて魔王の力を披露。最後に派手な一撃を出して退場。
という算段だ。
そんな計画を立てていると、俺の順がとうとうやってきた。
俺は瞳に魔力を流し、相手を観察する、こうすることで相手の魔力量がおおむねわかる。魔力は単純に多いいだけでも脅威になりえるので、観察は大事だ。因みにこれを疑似鑑定眼となずけた。
ぱっと見た感じ魔力はそんなに多くなさそうだ、ただ、剣術はかなり行ってそう……
『これより。ノア・ヘルサイドの技能検査を開始する!』
この言葉を合図に疑似鑑定眼をといた俺は相手の動きに集中する。
教員が大きく踏み込んで加速その速度のまま振り下ろされる大剣。
今ッ!!!!
その瞬間大きな音とともに俺は壁に衝突壁の一部を粉砕、土煙をだして俺はがれきに埋もれる。その瞬間変装の魔法で姿を即座に変えれるようにして待機、
『ノア・ヘルサイド、ノア・ヘルサイド!!……』
何回か俺の名前が呼ばれるが、まだでない。教員が俺の戦闘不能を言い渡そうとした
『ノア・ヘルサイド、戦とお――ッ!』
今!!!
その瞬間、俺は体内にある赤い魔力を放出した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〈教員視点〉
がれきの中から溢れ出る赤色の魔力に誰もが驚愕しただろう。
土煙が消えたときには、瓦礫のなかから先程の少年とおぼしき人が出てきた。
しかし……服装、背丈、魔力の質その何もかもが変わっていた。
赤と黒に銀を貴重とした、ロングコートにロングブーツを纏いし、その少年からわき出る魔力は濃密に練り上げられた美しいものだった。その魔力は会場の地を砕き、先程までの快晴はあり得ないほどに赤く染まった空となり、大気中の魔力がその強大な力に怯え震えた。
会場の誰もが驚愕し、恐怖し、戸惑っているなか彼が辛うじて放つことができた言葉は一言。
「………お前は………何者なんだ……」
ピクリと反応しその言葉に少年は歩くのを止める。
少年は腕を高く上げ、パチン、と指を鳴らす。
その瞬間会場の彼の後ろで観戦していた生徒約50名は、首から先が吹きとびその場に大量の血溜まりを残す。
少年の赤い魔力を受けたその血液は地面から剥がれ空中を流れるようにして少年と元へと進み、少年の周りを螺旋を描いていく。
少年は先程の腕を前に伸ばし手を大きく開く。その手に大量の魔力がと血液が集まり真紅の剣を造り出した。
「────俺は、魔王、魔王ノアだ。」
先程の教員の質問にそう答えた魔王を名乗る少年は、その右手に持つ剣を大きく横に振りかざし、10mほど離れた場所にいる教員の首をはねた。
これが魔王ノアによる大虐殺の始まりであり。
世界が魔王ノアを知る最初の物語となる
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