第8話 ミステリー研究会は?
同年六月二日、ミステリー研究会の部室では、皆の意見を聞くために、
「ええと、全員集まったかな? 点呼するぞ、先ず一年生の
そして帆蟻部長は、今日みんなに集まって貰った説明を始めた。部長は、先日の
「え……。つまり帆蟻部長の話とは彼女である、高倉さんの相談事に応えてあげようと言うことですか。チョッとそれは……。それにこの研究会を私物化するのはどうかと思いますが……」皆も垰田君の言葉に軽く頷いていた。
「な、何だよ皆❗ 女性が困っているのを助けてあげようとは思わないのか」
「女性って、結局部長が彼女に良い顔をしたいだけじゃないすか」
「そうか、判ったよ。皆、気にくわないんだな」帆蟻部長は、顔を赤くして大声を上げた。そこに、頬杖をついて話を聞いていた巨勢君が言った。
「帆蟻部長! 何もそんなに興奮することじゃないと思いますが。私も高倉華英さんの話の中には腑に落ちないことがあります」
「腑に落ちない? どんなところがだ」部長の呼吸が少し荒くなってきた。
「そうですね~、何故に彼女はあんなにも、
「そ、それはだな。判るだろ。察しろよ。高倉華英さんの彼氏は誰だか判るよな。その信頼の厚い人に頼るのは人の常ではないのかい。そのくらい
「そんなに帆蟻部長に、信頼を置いているのかしら? 私には判んな~い」高橋由里子が混ぜ返す。
「大事なことを忘れてましたが、かんじんの華英さんの祖父、
「彼女の話だと、丁度夏休み中の八月十五日らしい」
「するとその前に、現地に行かなくてはならないと言うことですね。それとこれは今朝テレビのニュースで見たのですが、何でも例の東京湾で見つかった遺体の身元が判明しましたね。問題はその身元が長野公安調査事務所の調査員と言うことですよ。これはただ事ではないと私には感じるのですがね。正直、この時期に長野にいくのは、危険ではないでしょうか?」すると皆も”そうですよ~“との意見が飛び出した。
「俺だって新聞で読んだよ。しかし、彼女の実家とは関係があると出ていた訳ではないぞ。まぁ、そう言うことだな~」しかし、そこで二年生の山地光希が発言した。
「俺。タブレットで検索したんですよね。今度発見された方の公安調査事務所と倉橋さんの家は、近いんですよね。更に彼女のおじさんの宗教も近くにあるし。公安調査庁って、テロ事件などを起こしそうな、宗教団体や、その他の団体等を調査するところでしょ。何だかヤバイな~と、思いますけど」更に今度は巨勢君が発言した。
「そうさ、法務省公安調査庁と言う部署は、そんな調査を行うんだよ。もう三十年ほど昔になるかな、オウム心理教の時、活躍したって親父から聞いたよ」
研究会の皆は”ふ~ん“と、ため息に近い反応をした。しかし、その時吉田祐は、
「へ~、そんな場所なのか。面白そうだな。チョッとばかり興味が出てきたよ」と呟いた。
「面白いどころじゃないだろ。危険な場所じゃないか」と、誰ともなく批判の声が聞こえてきた。
「ええい、皆❗ 結局はこの案に反対なのか、賛成なのか、ハッキリしろよ」帆蟻部長の大声がとんだ。
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