第3話 帆蟻義人
実はな、俺の彼女は、隣の部屋でやっているオカルト研究会に入っている
「え~っ、
「オカルトはオカルトだよ。巨勢君、君知らないの?」
「いえ、オカルトは判りますが、つまりその……超異常現象を研究するのですか? それとも超異常な性格の研究をするのですか? ひょっとしてポルターガイストや、ダミアンの研究とか、羊たちの沈黙などを読んで研究するのかな?」
「そのどちらもだよ」
「え~っ、異常な世界に深く足を踏み込むと、自分の性格もおかしくなってしまいますよ」心理学部の巨勢君が
「そーだよな、俺もそれを心配しているんだ」
「大体、倉橋家は何だかおかしな人が多いらしいって聞いてるよ」
「先輩! 一寸やばくないですか」
「お前もそう思う。ヤバイかな~」
帆蟻先輩は頭をゴシゴシと擦るとそう言った。先輩が頭をゴシゴシと擦るときは、自信の無い時の癖である。やれやれ自称名探偵ポアロも形無しである。ちょうどその時、部室に三年生の
「あ~あ、あの人ねやっぱり身元が判らないんだ~」と、佐伯先輩が声を上げた。
「そうね、天下の警視庁でも判らないもんだね~、何しろ首が無かったもんね。でも、ひょっとしたら、警察には身元が判明してるんじゃないの。公表できない身元だったりして」髙梨先輩が相づちを打つ。
「公表できない身元って、誰なのよそんなことあり?」
「そうねー、例えば……。ん~、判んない!」
話がそれてしまったので、巨勢君は、リモコンでテレビのスイッチを切ると、
「で、その部長の彼女の何を困っているのですか?」力を込めて問い掛けた。
「え~っ、部長何か困っているのですか?」佐伯先輩が顔を覗そく。
「部長はね、彼女からの 相談事で悩んでいるの」
「ふ~ん、彼女ね。あのオカルトお宅の倉橋さんのことだね。綺麗で可愛い彼女だもんね。部長には似合わない!」髙梨先輩が嫌みたらしく言った。
「悪かったな❗ 俺には似合わなくて、ふんっ」部長は鼻の穴を膨らませていった。
「部長! もう相手にしなくていいから、何に困っているのか話してくださいよ」
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