第7話:老婆からの変わった注文。

アルモース地方の片田舎にある一軒の雑貨屋さん。

その雑貨屋さんの名は「ファーゴット雑貨店」。


店主の名はエルフの少女「マーテルベル」


「マーテルベル・ファーゴット」それが彼女の名前。


マーテルベルはスモールアンクルと呼ばれるドワーフがと暮らしていた。

雑貨屋はさほど繁盛してるとは言えなかったが、マーテルベルはとくに

気にはしてなかった。


そして今日も雑貨店には客もあまり来ないだろう的、暇な1日が始まろうと

していた。


「おはようマーテルベル」


「あ、おはよう、オリバー」


早朝からオリバー・ブルームズベリー が牛乳配達にやってきた。

いつもの挨拶・・・なにも変わらない平和な朝。


「毎朝、ご苦労さま」


「牛乳配達終わったら、またお店に寄って?」

「美味しいお茶、ごちそうするから・・・」


「分かった、かならず寄るから・・・じゃ〜ね、行ってくる」


「気をつけてね」

「時々、ゴブリンとか、うろうろしてるからいたずらされないようにね」


「ほ〜い」


手を振りながらオリバーが自転車で去っていった。


「毎日、同じセリフでよく飽きないな・・・」


ドワーフのスモールアンクルが言った。


マーテルベルはクスッと笑った。

だから平和でいいのよってマーテルベルは思った。


さてさて、その日のお昼前のこと、ひとりの老婆が雑貨屋のドアを叩いた。


「ごめんください」


「いらっしゃいませ・・・」


対応したのはこの雑貨屋の店主のエルフ、マーテルベル。


「あの・・・この雑貨屋さんは、なんでも叶えてくれるって聞いてきたんだけど?」


「はあ?・・・なんでも叶うっていうのは?」

「まあ、どうそそこの椅子におかけください」


そう言ってマーテルベルもカウンター越しに客と対面するように椅子に座った。


「なにをお探しでしょう?」


「私の孫」


「え?・・・お孫さん?・・・って言いました?」

「そう言うことなら捜索願いを出されては?」


「いやいや、孫のいる所は分かってるんだけどね、そこの場所が分からないの」


「どういうことでしょう?よかったらお話くださってもいいですか?」


「ファーゴットさん・・・あんた西の国で起きた戦争知ってる?」


「西っていうとコルドアスの戦い?」


「そう、そのコルドアス・・・」

「わたしはこのアルモースの片田舎に住んでたから戦争の影響はなかったんだけど」

「息子夫婦と孫は、私とは住んでなかったからその戦争に巻き込まれてね」

「行方知れずになったの・・・」

「それから、息子たちからなんの連絡もないから、きっと亡くなったんだと諦めて

いたんだけどね・・・」


「この間、孫から手紙が届いたんだよ、元気にしてるからって・・・」

「なんでも西のベネディクト修道院ってところにいるって・・・」

「その修道院はモンテミオスの山中にあるって書いてあったんだけど、そんな

修道院、誰に聞いても知らないって言うんだ・・・・」

「このあたりの人は特に知らないんだよ・・・まあ西の地方だからね」


手がかりもなくて・・・それに年寄りの足で西までは行けないしね・・・」

「修道院なんて探せないでしょ・・・」

「でも孫に会いたいんだ」


「だから、あなたに、その修道院を見つけてほしいの・・・」


「そうなんですね・・・修道院ですか?・・・」


「でも困ったな・・・無くし物でも小物とか思い出の品とかならなんとかなる

かもしれませんけど・・・」


「困りましね・・・」


「無理なのかい?」


「ん〜どうでしょう?・・・ちょっと待ってくださいね・・・確かめてきますから」


厄介なご注文と思いながらマーテルベルは店の奥へ引っ込んでいった。


つづく。

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