大飢饉により、世界は徐々に壊れ始める。それは富裕層との貧富の差を表すことに。世界は変わらないのだ。

夕日ゆうや

2901年某日

 2901年の一年間。

 大飢饉が世界を襲った。

 温暖化による急激な気候変動が世界の食糧事象を一気に変貌させた。

 海水温の上昇に伴い魚の大量死、加えて地上の田畑には冷害が舞い降り、鳥インルエンザの流行。

 世界は少しずつ崩壊していった。

 流行病を患った人々は栄養失調で死に絶えていく。

 俺たちはいったいいつまで生きていけるのか、分からない。

 技術の進歩により、冷凍食品や保存食がある。

 それを買い占める富裕層が生き延びていた。

 その陰で富裕層への窃盗や強盗が多発していた。

 世界は徐々に滅んでいく。

 それでも地球は変わらなく青かった。


 変わり果てた世界で、俺は今日も必死に食糧を育てる。

 この気候変動でも耐えられる植物の生育。

 遺伝子操作により、より安全で、丈夫な、栄養価の高い食べ物。

 それは虫だった。

 昆虫食は人々の希望なのだ。

 みな、食糧に文句を言うことはなくなった。

 それは偏見と見た目のグロさを、食欲が上回った瞬間でもある。


 しかし、その食糧も富裕層が買い占め、貧困層に高く売りつける。

 そんなことが蔓延して、けっきょくは私腹を肥やす結果となったのだ。


 いつの世も、強者が台頭し、弱者はその陰で泣く。


 何も変わらないのだ。

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大飢饉により、世界は徐々に壊れ始める。それは富裕層との貧富の差を表すことに。世界は変わらないのだ。 夕日ゆうや @PT03wing

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