第一話 第三位の原因

「うん。新曲はこんな感じでいいんじゃないかな」


「はぁぁ、やっっと終わった」


草乃が終了の言葉をかけるとみんな、疲れて床に倒れ込んだ。


「今回の曲、久しぶりに難しすぎるだろ」


「そりゃあ今回の曲は俺と光の二人で作ったんだからな。曲が複雑になるのも必然だろ」


「それにしても久しぶりだな〜二人で作曲したのって」


「蒼雷と光で曲作るのはなんか昔に戻ったみたいだね」


「昔って言っても三ヶ月前くらいだけどな」


「やっぱ怒涛の日々だったなぁ」


あの日、焔がバンドをやろうと言い出し、最初はみんな乗り気じゃなかったけど、なんやかんやで一緒にバンドを始めた。

バンド経験者は一人もいなかったが、みんな多少の音楽経験があったから草乃を先生とし、みんなでひたすら練習した。

最初はアニソンなんかをカバーして高バンに投稿していたけど、なんとなく僕と蒼雷で曲を作ってみて、それが案外上手くいったから、どんどん曲を作った。


「懐かしいね〜。蒼雷と光の曲を作るペースは早かったなぁ」


「それで演奏しきれなかった曲はボイスロイドに歌わせてネットに投稿したんだけっけ」


「それが俺らが人気の出た理由だよなぁ〜」


とりあえず完成度が低いと思った曲をいくつかネットに投稿してみた。その時僕ら二人はどうせ人気も出ないしめんどくさいからと言ってフリー楽曲として投稿した。

その影響か数週間後にはネットで話題の曲となり、そのまま高バンランキングの順位もどんどん上がり今の三位までたどり着いた。


「ネットで一番話題になったのは光がメインで作ったあのネタ曲だよね」


「そうそう。あの曲は深夜テンションで作った曲だから一番売れないと思ってたんだけどなぁ〜」


「初期の頃はあの曲が一番人気あったよね〜」


「その頃から俺と光で別々で曲を作るようになっちゃったよな」


蒼雷が作る曲はカッコよかったりエモかったり、盛り上がる曲がほとんどで、逆に光が作る曲はほとんどがネタ曲、電波曲凄くたまーに普通の曲も作っていたりした。


「やっぱ、光のせいだよね。私らがネタ系バンドって言われる原因は」


「まぁでもいいじゃないか僕のおかげでここまで来れたんだから」


「でも逆にネタ系バンドだか三位止まりなんじゃないのか?」


「いやいや、圧倒的に私達の演奏技術が低いせいだと思うけど」


「俺らは最強のネタセンスと最弱の実力を兼ね備えた最弱で最強なバンドっていうのも売りだから」


「その実力が最弱でなくなればもう少し人気も出るし、少なくともアンチの数は少なくなると思うけど」


僕らのバンドにはアンチが多い。高バンの中で一番多いと言っても過言ではない。だって順位と単純な実力が見合っていないのだから。他のバンドを単推ししてる人達からしたら実力不足で気に入らないのだろう。


「でもまぁ、アンチはほら、焔がネタにして話題に変えてくれるから」


「そらもそっか」


「おいおい、お前らアンチの対応を全部押し付けるな」


「だってこれは君が始めた物語だろ?」


「うっ、なんも言い返せない」


「よーし。問題解決」


「じゃあそろそろ帰りますか」


「だね。僕も帰って作曲、、、したいのは山々だけどやる気が起きないからアニメでも見よっと」


「あ?何言ってんだ?光。昨日の曲の続き作れや。お前が作らないと俺が進められないんだよ」


「だとよ光。てことで頑張ってー(棒)」


「はぁ。やるか」


こんな感じで僕らレッツおやすみパーティーは呑気にマイペースに活動している実力不足の第三位のネタ系バンドとして活動している。

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