第14話 婚姻届
家に戻った私を待っていたのは、ニヤケ顔で仁王立ちしていた秋子だった。正直幸せMAXだった私を、少し不快にさせた。
「..........ただいま」
「ちょいちょい待ちなよ雪」
「何?」
素早く自分の部屋に戻ろうとした私の前に素早く立ち何故か自信満々に顔を左右に振っていた。
「隼也君の家に何しに行ってたの?奥さん」
「おおおおおおお奥さん!!!」
家族の目にも私達は夫婦に見えるんだと、嬉しくなったが秋の顔は少し不快だったので、
「何が言いたいの?」
「いやぁ.....私が学校からの帰り道に雪と萎縮した隼也君を見たから何かあったんかなと思って」
隼が萎縮??秋は目が付いていないのね。隼は私と帰っている時は、堂々と歩いていたし、会話も普段より多かった。
「隼也君は可哀想に」
「可哀想に?何が」
「べっつにーーーー」
秋はリビングに逃げたので、追いかけずに自分の部屋に行った。そして私はある物をタンスから取り出して机の上に置いた。
「はぁ.......この手紙どうしよう」
私は目の前にある手紙を見ながらさっきより不愉快になりながら、処理方法を考えた。
「隼にはこれ以上見せたくないから、渡した相手に私が直接会ってお話しする....これでいこう」
私は少し失礼ではあるが、手紙を開けて名前を見てみると、???これって、
「この名前って坂井君の恋人の名前?」
ちょっと前に教室で隼の会話を盗み聞きしていると、坂井君の煩わしい声も聞こえてきて、その時に坂井君の彼女の名前として斉藤時雨という女性がでてきた。
「もしかしてこの手紙って隼じゃなくて坂井君って事かな」
なら私達には関係ないので、明日斉藤時雨さんにこの手紙を返そうと自分のリュックにしまった。
「ふぅ.......また私達の未来を守れた」
そして私はさっき隼の体を触った自分の唇を指で撫でながら、微笑んだ。
「ゆーーーーーーき、隼君が来たよ」
「ななあんななあなんで隼が」
「なんかインターホンでは、紙を出して怒ってるよ」
「あぁ....やっぱりそうなるか」
私は一階に行ってドアを開けると、
「雪葉、これなんだよ」
「.............婚姻届」
「なんで僕の保護者報告専用の封筒に入れたんだよ」
「分からない」
「母さんに質問責めになったし、何故か赤飯を買いにスーパーに行ったよ」
「そっか」
隼は私の名前が書いた婚姻届を悪ふざけの様に言ってきたので、怒りそうになったがお母様は本気になってくださったので、少し嬉しくなった。
「雪葉これは返すよ」
「ダメ」
「返す」
「怒るよ」
「なんかごめん」
「分かったならそれじゃあ」
私は強引にドアを閉めた。すると秋が近くに来て、
「大胆になったね。雪」
「そんなんじゃない。隼が鈍感だから」
「恐妻家って言葉知ってる?」
「秋...............何が言いたいの?」
「何もないです」
私は隼が婚姻届にサインする事を望みながら自分の部屋に戻った。近い未来にあの婚姻届を出すんだから今から準備してもいいよはず、
「それより明日は........斉藤時雨さんに」
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