第8話 秋と雪
家にあるのは緑茶と麦茶であり、雪葉の好みは当然分かっている。勿論僕は麦茶を入れた。僕は緑茶の方が好きだったので、当然別々で入れて持っていく事にした。
「...........慎重に、慎重に」
僕は自分の部屋までゆっくりと行き、何故か自分の部屋なのにノックする事になる。
コンコン........、
「良いよ」
「はい、雪葉これ」
小学生の時にノックをしないで部屋の入ったら雪葉からの地獄説教24時を受けて、怖くて何に関してもノックをする体になってしまった。
「ありがとう」
「雪葉って麦茶好きだったよね」
「うん」
「それなら良かったよ」
「(好き好き好き好き、でも隼は緑茶なんだね。私は一緒が良かったな、でも)」
隼と経験した事と言えば、手を繋ぐ。それ以外目立った幸福感を味わっていない。
「(味わっていない)」
「...........どうしたの?」
「その、麦茶飲む?」
「え、別に大丈夫だよ」
私のシェア大作戦は隼のたった一言で、滅んだ。でもそれなら私にも考えがある。
「それなら.......麦茶に合うお菓子食べたい」
「うぅんん、取ってくるよ」
隼が部屋から出た事を確認して、私は緑茶の入っているコップを手に取り、隼がさっき口にした逆の方を口にしっかり当てて飲んだ。
「凄い...........水の味がする」
緑茶のりの字もしない程、隼の味しか感じなかった。まぁ....隼の味はまだ知らないけど、
コンコン........、
「あっそうだ、良いよ入って」
「これ食べる?」
「うん、ありがとう」
「好きだったよね。煎餅」
「うん(煎餅好きな隼が好きだから好物なだけだよ)」
私は自分のコップと煎餅を前に置いて、隼が緑茶を飲むのを待っていた。私は小細工としてさっきの飲んだ部分を手前にして置いた
。その効果で、
「ふぅ.......緑茶とも合うね」
「(隼が私の私の私の唇触った。錯覚でも何でも良い。これが夫婦になったら無意識になるのかな。悲しいけど、それも良いな)」
「......どうしたの?」
「何でも無いよ」
煎餅を食べる隼はずっと観てられる。私は少し飽き性だが、隼が関係する事は、何故か大丈夫だったりする。これも隼が誘惑するから、隼は淫乱かと感じる時もある。
「.........」
「.........」
永遠の時間とも感じる幸せな時の中で、私は少し戸惑っていた。それは、何を話していいか分からない。でも隼は困惑していないので、隼も私と居ることに嫌悪感が無い事が自然に分かる。
そんな時間が永遠に、
ブブブブブブブ........、
「雪葉?」
「うん私だね」
「出ないの?」
「うん」
「出たら?」
「うん(あ、間違えた。隼少し意地悪)」
私は渋々電話に出ると、
「雪、今日焼肉だから早く帰ってきてね」
「...........はい」
姉からの期待した声が、今は無性にイラついてしまった。焼肉?好きだけど今は隼の方が好き........ずっと好き、
「秋子さん?」
「そう」
「やっぱり、声聞いたらすぐ分かったよ」
「そう(はぁぁぁぁぁぁぁ、秋の声ずっと聞いてないはず、もしかして私の知らない所で会ってるのかな)」
「どうしたの?」
「帰る」
「そう......バイバイ」
「うん」
玄関まで来てくれる隼が可愛い事は、私だけの時間だ。でも今は秋子に会いたい。会って尋問したい。そして.......敵なら今のうちの潰しておきたい。
「それじゃあ」
「また明日」
家を出て徒歩30秒。私の家に着いた。私の親がした1番尊敬できる事は、有馬家のすぐ近くに家を建てた事、この事が私の心を充実させてくれる。
「........ただいま」
「「おかえり」」
さっき聞いた秋と母の声がリビングから聞こえた。私はリビングに行き、秋子に対して、
「秋?少し着いて来て」
「何で、ここが良い」
「.....分かった。隼とどんな関係?」
「隼?あぁぁ、隼也君ね。隼也君とは幼馴染だよ。雪も一緒でしょ」
「違うよ。隼は私の特別だよ。そして秋には聞きたい事があります。最近隼と会った?」
「隼也君と?......数日前にスーパーで会ったよ」
「何で」
私は初耳だった。戸惑っている私の姉、佐藤秋子は高校3年生であり、私と違って黒髪ロングで、可愛い系の顔をしており、秋が通う高校では絶世の美少女で通っているらしい。
「ああそうだ。隼也君久しぶり会ったけど、やっぱり可愛いね。もし雪が冷めたら私がもらお....」
「何か言った」
「............」
秋が言う前に私は秋の口を塞いで何も言えなくした。私が冷める?何を言っているのか分からなかった。隼と会って以降、隼を想わなかった時間は睡眠時間以外無い。
「ぷはぁあぁ、冗談だよ。怖い目で見ないで可愛い妹よ。隼は雪にぞっこんだと思うよ」
「マジで?????」
「私の感、てへ」
私は隼の事になれば家族でも容赦しない人間だった。
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