第4話 薔薇の庭園
あの後、ゼファーの部屋を退出し、当然ながらイルはガヴィと共に
ガヴィの部屋は当たり前と言えば当たり前なのだが、ゼファーの
そもそも
よって、ガヴィの
すなわち、
私室であり、イルは
イルは最初の三日は顔を赤くしたり青くしたりした。……
しかし、悲しいかな四日目にはもはや
それよりも
イルは
が人間(
二日目の朝には
手を
次の日からはイルにも人用と同じ肉が用意された。
おかげで部屋付きの
五日目、イルはすっかり
「……君、もうその顔やめたらどうだい?」
ゼファーの
「……俺は元からこの顔ですけどぉ?」
「もうその辺でいいだろう?
ねえ? とゼファーはイルを
「だってよ、コイツ二度目だぞ?!
他のヤツにはしねえくせに、俺には足に
「君にしかしないと言うことは、君の
君と長年友人をしているが、私はアカツキ
そう言ってイルの
(……うぅ、泣きたい……)
ゼファーの
しかしまあ、ガヴィの
王子の
周りから見ればイルはただの
そう思えば、口は悪くともなんだかんだとガヴィは
大人しくしていなければガヴィにもゼファーにも
イルは二人に
***** *****
それから、イルはそれこそ本当の
六日目の夜には、
そして七日目の朝、
「よし! 散歩に行くか!」
ガヴィは
アルカーナの
外の
(この声――!)
ハッとして声の方に耳を向けるとガヴィが
「よし! アカツキ! この辺で散歩でもすっか!」
「――え?! アカツキ?!」
バタバタと足音が聞こえたかと思うと、
後ろからは
アルカーナ王国第一王子、シュトラエル・リュオン・アルカーナ。その人であった。
「アカツキ!!」
シュトラエル王子はイルの
その全身から
ぎゅうぎゅうとイルを
「問題ない。
「アカツキ! お
……ガヴィ!
そんな王子の笑顔を見て、ガヴィも
「……シュトラエル?」
「あら、レイ
「アグノーラ様、おはよう
「母上! アカツキです! ガヴィがアカツキを連れてきてくれました!」
アグノーラ
「森で
毎日アカツキのお話をしてくれていたものね」
キラキラと目を
ガヴィは改めて「この
「アカツキ、シュトラエルの母、アグノーラと言います。先日はシュトラエルを助けてもらい、本当に
そう言って
イルの
そしてこの王子に
「……シュトラエル、
ね? と王子を
「で、でも……今やっと会えたのに……」
「レイ
と言って王子を
その内側には基本的に王家の者しか入れないのだが、
国王の
今ほども、
「
こちらの
そう言って
北の
「……レイ
そう言って二人に頭を下げる。
これには
「とんでもありません。自分は当然の事をしただけですから。
……そうですね、
夜の森の中、アカツキが王子を温めていてくれなかったらと思うとゾッとします。雨も降ってましたし低体温で力
イルはビックリした。
ガヴィが
「ふふ……シュトラエルが
結果、自分の命を守ることとなった。
……アカツキ、
イルはタシタシと
「王子とは
ガヴィはそう言って少年の様に笑った。
ガヴィはそうやって笑うと一気に目が無くなって顔が
ここでの会話で王子
王子は自分の
「……母上、あのね?
……アカツキの
「
……確かに
そう言ってにっこり笑った。
シュトラエル王子は
その後、遊び
王子は「明日も遊ぼうね!」と言うのは
その日、イルは
シュトラエル王子には
しかも明日からは会おうと思えば王子に会えるのだ。
あの
人の
「……お前、本当に王子が好きなんだな」
イルはご
「ハハ……素直なヤツ」
いつものようにちょっと
(……ガヴィが色々考えてくれなかったら、王子に会えるのはもっと先になっていたよね。
……ガヴィに、いつかなにかお礼がしたいなぁ……)
少し先を行くガヴィの背中に、イルは素直にそう思った。
***** *****
次の日から、イルはシュトラエル王子の所に日参した。
始めの数日はガヴィも付き合ってくれたが、三日も経つと「
王子の待つ
そしてその日、王子が「
王子が
初めはちょっと
さて、今日も今日とてイルは王子に会いに、
庭園の門番もすっかりイルに
ここを通る時、この二つの
アーチを
「おや、アカツキ
小さく
(あれ? ゼファー様、何でここにいるんだろう……)
そう思ったところで、イルはゼファーの
王家
「……彼女がアカツキかい?」
(――この方が、)
そこにいたのはこの庭の、――いや、この国の主。
アルカーナ王国国王、
エヴァンクール・リュオン・アルカーナ王だった。
アルカーナ王はゼファーよりかは
ゼファーとは血縁であるので当然だが、決定的に
ゼファーが見事な
「はい、
「息子が世話になっているようだね。
ゼファーの声も、
イルはパタパタと
「……それにしても君は
……でもこちらの言っている事は通じていそうだね?」
「……
……これからもシュトラエルを
そう言ってチャリ……と王子のくれた飾りを
「あっ! アカツキだ!」
建物の中から元気な王子の声が聞こえたかと思うと、
イルの首に
「ゼファーもいらしてたの?」
「はい王子、お
ゼファーはにっこりと王子に
「父上もアカツキと仲良くなりました?
アカツキは
王子が
この王子は本当に人を喜ばすのが上手い。
すでに王の資質を
「……そうか。
いいかい? シュトラエル。
国を
……アカツキを友と思うなら大事にしてあげなさい」
シュトラエル王子は父王の言葉にハイッと元気よく答えた。
いつものように王子と庭を転げ回り、王子が
そんな二人を見て、
幸せそのものの光景だった。
父からすれば一種のお守り代わりだったにちがいない。
父から
人の言葉を話さなくても、伝わる思いも人も、ここには有る。
(これからも、……ずっと王子の笑顔を守りたい)
父の言った通り、このままでいる事が自分の幸せに
イルはそう思いはじめていた。
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