第6話 グーパン最強

「連携しよう」とレイが提案する。

「バラバラに攻撃しても埒が明かないよね」

「あんま効いてる感じしないんだよねぇ…。」



「私が足に紐をかけて転ばして縛るから、桜と空はあいつが動けないように手の動きを封じ続けて。千歳が鈴を鳴らしてる間にみんなで一斉攻撃する。これでどう?」




「いつになく躑躅が乗り気じゃーん」

ちょっとからかってみる。



「ちょっと前まで霊とか信じてなかったのに、怖がったり倒す方法考えたりして、なんかあった?」と千草が聞く。



「興味無いって言っただけで信じてなかった訳じゃないし、こうなった以上頑張んないとやばいでしょ。攻撃されると普通に痛いし」




「それはそう。で、次いつ山行く?あと5日で夏休み終わるけど。」




……ん?




千草を除く全員が凍りつく。





『宿題やってない!!!!!!!』







本日、夏休み最終日の朝。私達は山にいた。



あれから必死に宿題を終わらせた。高校は宿題量が多い。ほとんど答えを映したがまあ何とかなるだろう。






「これ最後のチャンスだからね。さっさと終わらせて焼肉行くよ」と私が声を掛ける。リーダーシップを取っているようだが私は何の役にもたたない。






「作戦通りで行くよ」

「分かってるって躑躅」





線の中に足を踏み入れる。



躑躅が紐を引っ掛け、霊が転ぶ。桜と空が手の動きを封じる。




鈴の音が鳴る。すかさず攻撃を繰り返す。






『核だ!!』




みんなが一斉に攻撃の量を増やした。





その時、小さく音が聞こえた。とても言葉に表わしにくい、耳鳴りのような音。

ーーーやばいかも





「みんな逃げ……」



間に合わなかった。全員が吹き飛ばされる。





私以外のみんなは気絶したようだ。息はあるが動かない。




(何とか出来るのは私しか…)






やつがスピードを出してこっちに飛んでくる。何かしないと、道具は使えない。なら!






腕に力を込めて霊の、半分見えた核を思いっきり殴る。







霊を手が触れる瞬間、私の手が青く光った。




ーーードォォーーン!



霊が倒れた。少しずつ姿が消えていく。





倒した…?






「桜!!!」


ゆっくり起き上がった桜の元に駆け寄る。



「倒したの…?」

「うん!それより傷を!布私触れないから!」

「わかった」










「合格でーす。」



『やったあ!』



「初任給…の前にやらないといけないことがありまーす」



出されたのは1人1枚の紙…これは


「皆のことを神社の助勤バイトとして雇うので、履歴書書いてくださーい」










「書けました」



「はいこれで全員分ね。どれどれ………よし。おっけー。これ全員の初任給ね。」




「でも最終的に倒したの麻陽1人なんですですけどぉ…」菜々が言う。





「あんまり役に立った気がしないんだよねー」

「お金貰うの申し訳ない」


と続いてみんなも言う。




「倒したのは倒したんだから受け取って。気に入らないなら麻陽になんか奢ってやればいい。」



「奢りも申し訳ないからいらないよ。私が役に立ったのもこれが初めてだし、余計なこと考えないで受け取ってー」





「よし。じゃあ焼肉行くか。割り勘で!」


「おー!!!」







家が静かになった。ふぅ。と軽くため息。

履歴書を確認する。名前…住所…



(まさか…こんなことがあるのか…!?)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る