第5話 衝撃の事実

数日後、吹奏楽部は今日も活動中。



「チューニングしまーす」と部長の藍先輩。


   ちなみにだが私は耳の良さに自信がある。長年ピアノを習っていたので絶対音感もある。

   だから私は、吹奏楽を始めて間もない割には周りと音程や音色を合わせるのが上手だと自負している。




   そんな感じでいつものように部活をしていた訳だが、どうやら躑躅の様子がおかしい。



   いつもはユーフォニアムの音色を響き渡らせているというのに、音程は不安定。高音は出ない。




「今日調子悪いの?」と聞いてみると


「霊がどうとかの話が今まで考えたことも無い世界すぎて疲れた。」



確かに疲れた、とみんなが同調する。



「怖いし、泣きそうだったもん」


「躑躅は実は怖がりなんだねぇかわい………」「口を慎め」

「はい」



「じゃあ今日は山行かなくていいかぁ」

「俺も寝たい」

と今日はみんなお疲れモードのよう。


「まあ私は疲れてないけどね!なんもしてないから!!」



と言ってみた。





部活が終わり、スマホを見ると、伽羅さんから連絡が来ていた。





「どうして私だけ呼んだんですか?」


「実はさ、前あんたらにお祓いしたじゃん?」



「…はい」 


「麻陽の後ろに強い霊いたから実は麻陽には何にもしてないんだよね。」


「ぇぇ!?その霊は一体どういう…」


「麻陽には一切の害を与えないけど、なにせ霊だからお祓いの類を持つと麻陽が怪我する事になる」



なるほどだから何もさせてくれなかったのか…




「で、あんた耳良いでしょ。」


「普通の人よりはいい自信ありますけど…」


「やっぱり。鍛えたら霊の場所を突き止めれるようになる。才能ないと出来ないから頑張って。」








真夏の晴れの日。山の頂上にて。



「よし、行くか。危なくなったら大声出して直ぐに逃げろよ。」



「行くぞーー!!」



レイの掛け声で全員が線の中に入る




大きな霊が現れ、全員がそれを囲む。



私は目をつぶる。




みんなが一斉に攻撃をし始めた。霊もそれに応戦する。


私は目をつぶったまま、霊とみんなが何処にいるか、耳を澄まして把握していく。



(こっちに来た!!)



走って横に逃げる。私の元に霊が突っ込んできたのだ。



(成功した!)





   この訓練を続けていくと、近くのものの把握が出来るようになるだけでなく、遠くの霊の音を聞いて探すことも出来る。とのこと。

 



   道具を使えない私には今の所これしか出来ない。直接みんなに協力出来ないことのもやもやした気持ちや、私に着いている霊の正体とかを、耳を澄ますことに専念して誤魔化す。 






『逃げろー!!!!』




全員が入って線の外に出る。



「こんなの倒せないよぉ」

「それな」


おつかれ&諦めムードの中、レイが励ます。


「伽羅さんはみんなが出来ると信じてるんだから!期待に応えようよ!」







伽羅は家でくつろいでいた。


(あんなに突然、才能あるやつが一堂に会するなんてこと、有り得るんだな…)


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