第2話 物語の始まり

コンクールの本番前もおまじないをし、大きなミスはなく、強豪校では無いので無難な銀賞。



ということは置いておいて、目の前のこいつはなんなんだ?




----少し前の話-----



今日は早く学校に着いたので音楽室がまだ空いていなかった。カバンを音楽室の前に置き職員室に鍵を借りに行く。帰ってくると1人女の子が立っていた。



「おはよう、桜。」


「おはよう、麻陽。」



桜は吹奏楽部1年のクラリネットパート。小柄で、ストレートな髪が肩まで伸びている。



「桜はいつも来るの早いね」


「そーね」



そんな話をしながら音楽室に入ると、教室の真ん中に、小さい、黒い塊のようなものが浮いていた。


---------




「何あれ。」


「見間違いじゃないよね?」


「多分」


「おばけ?」


「怖いて」



恐る恐る黒い雲のようなものに近づき、よく見てみる。雲にできている影だろうか。周りより黒くなっている部分がなんだか顔のように見える気が…




(なんだこれ)





入口の方で待っていた桜の元に戻りこう言う。


「見なかったことにしよう。」




……





そう言うと、黒い雲は、見えなくなった。




部活が始まる時間になった。のだが。どうやら今日は2年生が居ないらしい。進路を決めるためのなんちゃらかんちゃら…とのこと。




ということで今日は1年生しかいない。そんな中部活を真面目にやる確率は何パーセントだろう。



楽器は出したもののだらだらとおしゃべりしたり、スマホを触ったり好き放題だ。


なんとなく練習したあと、みんなでお昼ご飯を食べ始めた。




そんな時、チューバパートのハーフ男子、レイモンが話し始めた。



「みんなって幽霊信じる?」




幽霊と言うワードに私と桜は反応した。



「私信じてるー」とトランペットパートの菜々。



「俺も絶対いると思うな」とパーカッションの空。



「うちは別に興味無い」とユーフォニアムの躑躅。



「つれないねえ躑躅ったら。で、なんで突然そんな話を?」とアルトサックスの千草。





「さっき千歳と幽霊について話したんだけど」とレイモン。ちなみにレイモンのことはみんなレイと読んでいる。




千歳はトロンボーンパート。大人しい系男子。



「実はおれ幽霊見たことあってさ、友達にも視える人いるんだよねー」と続ける。


「で、なんでここでこんな話したかって言うとー」



「朝陽の後ろになんかいる気がするんだよねー」



「ええぇぇえ!?」



びっくりして変な声が出た。さっきのもあるんだからそういうのやめてよ!



「冗談だって、そんな怖がるなよ」



「まじでやめてよ…レイ…」



「いる気がするのはほんとなんだけど、気がするだけだから。」



(冗談じゃない!!!)

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