第35話:リザ。魔法使いの場合
(どこだミリー……いや待て。闇雲に探すより、行き先が確定しているあそこ。中心部にある、初心者の墓場に違いない。そこでまた殺るはずだ)
この森で遭難した冒険者は、必ず中心部にある大魔狼の巣付近で見つかると、レオナルドは知っている。
だから必ずそこへミリーを連れて行くはずであり、そこの場所に最短で向かう。
レオナルドとてスチールの称号を持つ冒険者だ。だからそこまでの道のりは知っているし、五体満足なら気をつければ無傷で進める、が。
(くそぅ、思った以上に体が重い。だらしのない日頃の不摂生が祟ったかな)
自虐的な事を思いながらも、「必ず助けるからな……ミリー待っていろ」と、口からあふれる思いは熱く、歩みを自然と早くするのだった。
――その頃、ドッヂの叫びは中心部にいるサンダーにも聞こえており、それよりドッヂに近いリザには当然聞こえていた。
「ったく、何してるんだかねぇ~あのウスノロは。はぁ~無能一人捕まえる事すら出来ないから、いつもアタシが尻拭いをする羽目になるから嫌になるわ。ねぇ?」
誰かに話しかけるように、リザは親しげに話す。
そこには確かに人影があった。が、何かようすがおかしい。
リザは足元からソレを見ると、地面より足が浮いており、首から上にロープが伸びる。
「ん~こんなものでいいかしら? しかしアンタも幸せな娘ねぇ、あの
「ち……がぅ……私は……あの女…………を嫌って、た」
「違わないわよ。いいこと恥知らずなお嬢さん? アタシ達はなんて言った? あの無能と
「ぞ、ぞんな……ひど……い」
「酷い? はぁやれやれ、いいことお嬢さん。あんたもあの
吊るされている黒髪の女は「ぞんな!? あなだの……指示だ……ったの゛に゛!!」と最後の力で叫ぶ。
「あら? そうだったかしら? アタシのせいかぁ……なら仕方ないわね」
自分の方へと来るリザを見て、女は「助かった」とつぶやくと同時に、リザが女の足を掴む。
やっとここから助け出してもらえる。そう思った次の瞬間、リザが聖母のようにほほえみながら女の足を強くつかむ。
「嫌ねぇ……秘密を知ってしまった悪い子には、強めのおしおきが必要ね?」
そう言うとリザは思い切り女の足を引くと、女は声にならない言葉で「ごヴぉ!?」と苦しみながら、色々と飛び散らせて絶命したのだった。
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