第26話:アタシはアティ。平たいけどサブマスなの
「危なかったわねホント」
「サブマスター!? 危ないって、どういう意味ですか?」
セルフィがそう言うと、「どうもこうも無いわよ。ほら、見てみなさい」とセルフィが持つ能力鑑定球を指差す。
よく見ればヒビがまっすぐに入っており、それをセルフィが触ると真っ二つに割れてしまう。
「こ、これは……」
「そうよ。あのボクちゃんが触れようとしただけで
「まさかそんな……信長さんの能力値はとてつもないモノだと……」
「やっと意味が分かった? もしミリーの連れがそんな事になったら、ギルマスがどんな難癖をつけてくるか分かったものじゃないものね?」
セルフィは「はい」と言うと、サブマスターから新しい能力鑑定球を受け取る。
そっと元のモノと交換すると、割れたものをサブマスターへと渡す。
「ほんと、見事に真っ二つね。はぁ……これからどうなるか楽しみね」
「ですね。こんな事は始めてですし、私はすこし怖いです」
「怖い、か……そうそう。怖いついでにコレを割った始末書をもってギルマスに謝っておいてね? じゃ~ねぇ」
「そ、そんなぁ!? 一緒に行ってくださいよサブマスター!!」
後ろから悲しげな声を受けてサブマスターの〝アティ〟は歩く。
そのまま二階へと上がり、吹き抜けの手すりによりかかりながら、下に見える信長を見てつぶやく。
「この腐った街に新しい風がやってくるって……あの子の事なの?」
自分が言った事だが、それが妙な希望が入っていたのだと気がつくと、首を数度横に振りながら否定気味に続ける。
「何を子供に期待しているのよ、私たちがどうにも出来なかったのに。でも……何か期待をしてしまう目をしていた。それにあの力は一体……」
今は期待だけしておこう。そんな事を思いながら自室へとアティは去っていくのだった。
――その頃信長たちは、先程約束した男たちの元へとやってきて、食事をオーダーしていた。
先程食べたというのに、まだ入るのかとミリーは呆れていたが、情報収集だということで黙ってお茶を飲む。
「ほぅ。すると最近は新人が良い装備を持っていると、殺されたうえに全て奪われるとな?」
「おうよ。だからお前さんも気をつけなよ? で、ランクは何よ。先輩としてご指導してやるぜ?」
「うむ、よくわからんのだがコレをもらったな」
先程もらったアイアンのプレートをテーブルの上に置くと、目の前の男はエールを吹き出す。
それが連鎖的にとなりの二人も始まり、思わずテーブルの上にある皿を上に上げて汚物をかわすが。
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