第19話:冒険者ランクはお硬いのがお好き?
金貨に埋もれた
「時にクマ助よ、ゴールドランクとはそれほどの地位か?」
「そりゃもう。冒険者のランクってのは――」
ランクによって大きく報酬や待遇。そして仕事内容も変わるらしい。
まずは雑草という意味でウィードから始まり、ウッド・ブロンズ・カッパー・アイアン・スチール・シルバーとなり、ゴールドが来て最終的にプラチナとなるようだ。
どうやら順序は硬度には関係ないらしく、昔からそういう事になっているらしい。
「ふむ。最高位まで九段階あるのか」
「いやいや、もっと上があるんだよ。プラチナは〝一般冒険者の最終称号〟だと思ってくれていい」
「ほぅ。詳しく聞こうか」
どうやらこの世界にはさらに上位の称号がある。
それがミスリルという、希少価値のある鉱石の名前だいい、さらに希少性の高いオリハルコンとつながり、最終的に
「日緋色金? ちょっと待て、それは日ノ本の伝説の金属ぞ」
それを聞いたミリーが「わーわー」と騒ぎ出し、突如話しを遮る。
「黄金郷の勇者様が昔に作り出したランクでアリマス! ミリーは大ファンなのです!」
ふむ、何か隠したいのか? 顔に出ているぞ鳥頭娘。まぁよい、ここはミリーに乗ってやろう。
「ほぅ。またしても黄金郷の勇者か? それは一度行ってみたい場所よな」
「ミリーもでアリマス! それでですね――」
続きはミリーが話し出す。どうやらその三つの称号を持つ者は伝説とまで言われるほど、世界に数が少ないらしい。
どれほどの逸材かと思うと胸が高鳴るものだ。
「うむ……そやつらを我が旗下に加えたいものよ。なぁ
「キキ。こちらでも天下布武を唱えるおつもりですかいな?」
「是非もない。余が織田信長である限り、そこに天下は付き従うのだからな。はっはっは」
笑う余を見たクマ助は、「大丈夫かこの人?」とミリーへとたずね、「た、たぶん?」と答える。
まったくクマ助もミリーも人を見る目がないわ。
そんな話をしていると、ミリーが大声で叫ぶ。何かあったのか?
「ちょ、ちょっとみんな! そういえば
今更ながら、
見れば金貨がザックリと山積みになっていた。
「どうもこうもない。すべてそちの物だから好きにいたせ」
「そ、そんなぁ!? だってたしか最終オッズが三百八十五倍だったから、へそくりの金貨一枚と銅貨数枚だったから……えええ!? 大金持ちでアリマス!!」
「キキキ。そりゃそうやわ、なにせ俺様が潰されたほど重かったからな。ほんまかなわんわぁ」
「おいに全て賭けたのか? 凄いなミリー……っと、そろそろ拾ったほうがいい。ネズミ共が狙い始めた」
遠巻きにこちらを見ている複数の目。それはむき出しの黄金の山に向いているようだ。クマ助の言うことも一理あるな。
ジョニーの荷台から持ってきた麻袋が役に立ちそうだ。
「ミリーよ、これで間に合うか?」
「流石は信長! それに詰めていくでアリマス」
「そうと決まりゃ長いは無用やな。ほな詰めたるで~」
昔から黄金が好きだった
その詰め方は雑なようで、一枚一枚がしっかりと整然と袋詰されていく。本当に金にかけては大阪商人も真っ青な手さばきだ。
クマ助へとハヤテを駆除したお礼だと金貨を渡そうとするが、やつは「それはミリーのだから」と受け取ろうとしない。
なかなかどうして、筋の通った男よな。
そうこうしているうちに全ての金貨が詰め込みが完了し、出発することにする。
「じゃあミリー。おいは行くよ」
「うん。レオナルドさん、その……みんなのために。そして私のためにありがとうでアリマス!!」
クマ助は照れくさそうに後頭部をかきながら、「俺のためにした事だから気にするな」と言って去っていく。
その後姿を見送りながら、今後の事について話す。
「図らずしも一匹駆除出来たな。さて、本来の目的地へと行くか」
その声に二人の返事が重なり歩き、クマ助が出ていった出口へと向かう。
「目指すは冒険者ギルド……の前に、まずは腹ごしらえと洒落込むか!」
「はいでアリマス! 今度は遠慮しないで、い~っぱい食べてくださいね♪」
「キキ。それじゃ俺様は、あの油で泳いでいた魚を食べる!」
「任せるのですよ。じゃあしゅっぱ~つ! で、アリマス!」
重い麻袋を担ぎ堂々と凱旋をすると、会場からクマ助を信じて賭けた事による大称賛と、その半分の妬み。そして多少のダークエルフへの誹謗中傷が聞こえた。
「まだまだ捨てたものじゃないな、ここの連中は」
「え? 何か言ったでアリマスか?」
「なに気にするな。そら、
元気に走るミリーの背中を見ながら、「異世界……楽しませてくれおるわ」と呟きながら歩く。
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