第17話:決着! 天より降るモノ
「ククク、もうテンメェ~の大斧は限界じゃね?」
「黙れ! おいの大斧がこんなになったのはキサマのせいだろう! それにこの程度じゃ負けん!!」
クマ助は大斧の耐久力を無視し、ハヤテの連撃の隙をつき逆転の攻勢へとうつる。
思い切り大斧で弾き返し、やつの剣が大きく上に飛びあがった。
「これで終わりだハヤテッ!」
「くぅぅぅ!! まだそんな余力残してやがったか!? ……なぁぁぁんてなあああ?」
ハヤテは大きく弾かれた力を利用し、そのまま真っすぐ剣を振り下ろす。
そこは大斧の刃の中でも一番ヒビが入っていた場所であり、鈍い鉄が折れる音が響く。
「なッ!? く、くそおおおおココまでか――」
クマ助は表情を青くし諦めの言葉を吐く、が――
「――諦めるでない! 余が許す! そのまま押し切れ!!」
「は? え? くそ、どうにでもなれええええ!!」
余の言葉に魔力を載せクマ助へと飛ばす。大歓声の中であれ、この技は実に効果的だ。
すんなりとクマ助の耳に届いたようで、そのまま破れかぶれに折れた斧で殴りかかる。
「ギャハハハ! そんな折れた大斧で何ができる? ぶうぁあああかめがああ! 死ねクマ野郎おおおお!!」
大斧が破損したことで、一撃必殺の刺突攻撃へと変えるハヤテ。
まっすぐに剣をクマ助の心臓めがけ、最速で突き刺す。
クマ助まで残り二メートル半。ハヤテのギラつく視線を見下げつつ静かに言い放つ。
「クマ助に何が出来るかは余が決める。見せてやれクマ助――ミリーとクマ助のために黄泉還れ大斧よ!」
大斧の折れた刃先が黒紫色に光り消え失せた次の瞬間、元の場所である
やけで大斧を、最大に引き絞ってから真横にぶん回していたクマ助は、「な、なんだ!?」と驚くが勢いは止まらない。
そこへハヤテも心臓を突き刺そうと走り込んでいたから、お互いの勢いは最大で突っ込む。
「な!? なんで大斧が復活しや――ぶヴぁらヴぇべええええッ?!」
剣を突き刺す形が悪かったのだろう。ハヤテは大斧の平たい部分に剣を折られ、しかもそのまま大斧で顔面を叩かれて吹き飛ぶ。
見事に弧を描くハヤテは、そのまま場外の縁ぎわへと落ち、色々漏らしながら頭を下にして海老型に気絶した。これぞ臭い立つ姿といえよう。
同時に静まり返る会場。そこへ上空に浮いていた対戦者同士の顔が下がって来て、戦いの結果を宣言する。
『ただいまの勝負の結果を発表します。勝者、鉢巻のレオナルド。以上のように確定致しました』
何が起きたのか分からず呆然とするクマ助に、ミリーが大声で叫ぶ。
「や、やったあああ!! レオナルドさんが勝ったでアリマスよおお!!」
その声が引き金になったのだろう。一気にミリーを中心に歓声が広がりはじめ、その声を聞いたクマ助が信じられないとばかりに大斧を見る。
「おいが勝った……のか? なぜ大斧が……え?」
未だに信じられないとばかりに、大斧を掲げ見るクマ助。
そこへミリーが闘技場へと降り立ち、クマ助へと駆け寄った。意外と身軽なやつよの。
「レオナルドさん、怪我はないでアリマスか?」
「あぁ大丈夫だが……しかしこれは……」
「ふふ。きっと天が味方してくれたでアリマスよ」
「神様か……それよりミリー、よく無事だったな。
「うん。追い出されて大虎が居る森を抜けようとしたけどれど、なんでハヤテたちはその事を……」
ミリーは少し考え、その答えを導き出す。
「あ、そうか。ミリーのほとんどの装備は取られ、下着の中に隠していた金貨意外、小金しか無い状態にしたのは、そういう事だったでアリマスか」
そこに余が後ろから声をかけると二人は振り向く。
「追い詰められたミリーが最速で向かう先を考えた結果、鳥頭発動で道に迷い、あの森へと迷い込むと思ったのだろうな」
「取り頭じゃないでアリマス! と……言えないのが辛いミリーなのです。多分信長の言う事はあっているのです……うぅ」
「キキ。流石は大殿。ミリーの事をよく分かってらしゃるわ」
突如現れた余と
「あぁ、この人たちはミリーのお友達でアリマス。そして助けてくれた天の人なのですよ」
「天の人……ま、まさかあんたが俺のバトルアックスを!? なんとお礼をしたらよいのか」
「さてな。それより上に何やら来たぞ?」
真上に来たクマ助の顔が映る赤い枠。そこにミリーの持っていた賭け札が吸い込まれる。
「なんやありゃ……って、ぎゃあああ!?」
赤枠から突如あふれだす金貨の雨。それはミリーが賭けた金が帰ってきた事による祝福の雨だった。
それに押しつぶされる
「と、いう訳だ。天がそちへ手助けした結果、余もうまい飯にありつけると言うわけだから、気にするでない」
「よく分からないが、とにかくありがとう。おいはレオナルドだ。見ない顔だがレグザムへ何をしに?」
その質問に背後で汚く気絶しているハヤテに左親指を向け、「家臣の雪辱を晴らしに、な?」と口角を上げ答える。
それを見たミリーが顔をひきつらせ、「で、アリマス」と答えた。
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