夜の公園にて

シナリオン

第1話

その公園には、巨大なカナブンがいた。中身は空っぽで、カラだけが置き去りにされていた。少年は、その中に入って、外を眺めた。カナブンのハネには穴が空いていたから、そこから外が見えたのだ。少年は光を見た。真っ白に輝く、まるで宇宙人が放っているかのような光だった。少年は、カナブンから出て、その光の方へと進んだ。道の途中には、大きな木があった。そこには、4匹のミミズクと、2匹のツバメが住んでいて、少年にこう話しかけた。

ミミズクたち「夜は楽しいね。モグラたちも、ミミズがたくさんとれると喜んでいるよ。キミはあの光を目指すのかい?」

少年「うん、そうだよ。」

ツバメたち「へぇそれはご立派だなぁ。あそこには楽しいものがいっぱい詰まってるものね。羨ましいなぁ。それにしても偉いなぁ。」

少年「ありがとう。」




少年は、光を目指していたが、公園とその光の間には高いフェンスがあった。あいにく、公園に出入り口はない。彼は、自分のすぐそばにフタマタの木が2本立っているのに気がついた。そして、そのうち1本を選んで、木の裂け目の間から、モグラの世界に入り込んだ。



〜モグラの世界〜

モグラたち「やあ。今日はどんな用事だい?」

少年「君たちには分からないかも知らないけれど、僕は地上にある光を目指しているんだ。」

モグラたち「光?光ってあのふわふわしていて、ヌルっこいやつだよね。キミはあんなのが好きなの?」

少年「君たちは好きではないの?」

モグラたち「何とも言えないね。あんなのを食べるくらいなら、ミミズの方が良いとは思うがね。」

少年「光は食べ物じゃないよ。」

モグラたち「じゃあ、それらは違う光なんだね。それにしても、キミは偉いね。たった1人で偉いね。」

少年「1人が好きなんだ。」



少年は、そのままモグラの国を進んだ。途中にモグラ用のエレベーターがあったのでそれに乗って地上に戻った。



でも、モグラ用のエレベーターなんて誰が使うのだろう?自分で土を掘ればいいじゃないか。




少年は、光の真下にたどり着いた。光は、すごく高い所にあった。少年は、光が自分の手よりもすごく小さいことに気づいた。光は、掴もうとすると、パクパクとすり抜けてしまったが、何度かそういうことを繰り返しているうちに、そのうち少年の手が白く光ってきた。少年は、その光をどう使おうか迷ったが、結局、モグラたちにあげることにした。

モグラたちは、まるで黄金に輝く巨大ミミズを発見した時のように大喜びした。

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