第3話 知恵と決断 - 見積もりの舞台裏

 一宮市では公共事業でトイレ工事の入札が行われ、官枝の務める”豊臣住設”も営業社員が見積もり作業に追われていた。しかし、官枝はふとしたことからその内容に首を突っ込むことになった。


 ある日、官枝が社内を歩いていると、営業社員のデスクの上に見積もり書類が散乱しているのを目撃した。彼女は気になって書類を手に取り、中身を確認してみた。


 その見積もり書類には、提示しようとしている金額が書かれていた。しかし、官枝はすぐに気づいた。その金額ではまったく利益が出ないことを。


 官枝は孫子の兵法を思い出し、無駄な戦いを避けるべきだと考えた。彼女はそのまま社長のもとへ向かい、入札への辞退を提案したのだ。


 「社長、申し訳ありませんが、この見積もり額では、私たちにとってまったく利益がありません。無理に参加するよりも、資源を有効に使う方が良いと思います。」


 「でもなあ。市の仕事を断ると、次の話はもらえなくなってしまうかもしれないよ」

 「大丈夫です。秘策があります。長期でみれば必ずいい結果となりますよ」


 社長は官枝の意見を受け入れ、入札への参加を辞退することに同意した。無駄な戦いを避けるための決断を下すことになった。


 見積もり作業の時間を使って、官枝は過去の入札で受注できた金額と受注できなかった金額を詳細に分析し始めた。彼女はデータを整理し、法則を見つけるために努力を重ねた。


数日間にわたる熟考の末、官枝は法則を突き止めた。特定の条件やパターンが受注の鍵であることが明らかになり、次回の入札に向けて準備を始めることになった。


"豊臣住設"は無駄な戦いを避け、知恵と決断によって新たな戦略を見つけ、次なる挑戦に向かって進むのであった。

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私は黒田官枝。戦国転生事務員です。 モノック @monoq

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