パラレルワールドの彼女
月ノみんと@成長革命3巻発売
第1話
なんで恋愛経験が豊富なことをいいことのようにいう風潮があるのだろう?
恋愛は一時の気の迷いだ
気の迷いは少ないほうがいい
恋愛経験が多いってことは何度も別れたんだろ?
何度も失敗したってことじゃん
恋愛経験なんか少ないほうがいい
俺はゼロだから敗北を知らない
◇
俺は産まれてから一度も彼女が出来たことがない。
俺だって、一度でいいから彼女ほしいー。
だけど努力はしたくないんだよなぁ……。
でもさ、やっぱりそれくらいの幸福、あってもいいじゃん?
俺ってあまり人生幸せなほうじゃないし、不幸ばかりだった。
だったらせめて、一度くらい彼女できてもいいじゃん。
そうは思わない?
いや俺もさ、まったく可能性がないなら、こんなことは思わないよ。
たとえば、俺がめちゃくちゃ不細工で、チビでデブでハゲで臭くてってんなら、彼女ができなくても当然だと思う。
もし俺が不細工だったら、そういう人生なんだと、あきらめもつくだろう。
俺が不細工だったら、幼少期のころから女には避けられ、接点のないまま育ち、あきらめられただろう。
だけども、俺は自分でいうのもあれだが、そこそこ顔はいい。
少なくとも、他の奴らと比べて、なにかが決定的に劣っているということはないのだ。
顔もいいし、頭もいい。
身長だってあるし、年収もいいから、条件は悪くないはずなんだよな。
なのにとにかく、出会いがないんだよな。
マッチングアプリもやってみたけど、続かない。
街コンとかもめんどくさいなぁ。
俺のなにがダメなんだろう。
顔は悪くなかったから、子供のころはけっこうモテた。
女子と普通に話せていたし、小学生のころは仲のいい子もいた。
だから、すこしだけ、なにかが違えば、俺にも彼女ができていたはずなんだ。
なにかが違えば俺にだって……。
別に今から彼女つくったっていいんだけどさ、やっぱり学生のころにほしかったな。
それは今となってはもうかなわない話だけど。
学生のころ、もう少しで付き合うまでいったかもしれないくらい、仲良くなった子がいた。
中学のころも高校のころも、いい感じの相手はいたんだよ。
ただ俺が勇気を出して一歩ふみださなかっただけでさ。
もしかしたら、あのとき俺が行動していれば、結果はかわったかもしれない。
そういうことを考えると、あきらめるにあきらめきれないんだよな。
俺がデブオタクでさ、女と話したこともないとかなら、あきらめがつくよ?
だけど、それなりに女と関わってきて、なのに彼女できなかったから、そりゃあね?
いろいろと後悔があるってもんだよ。
もっとああしていればとかさ。
いろいろ可能性を考えるわけ。
もしもの世界をさ。
きっとどこかのパラレルワールドの俺は、彼女ができていたはずなんだ。
もしもボックスとかあればいいのにな。
パラレルワールドの俺、彼女がいるんなら、俺と変わってくれよ~。
「そこまで言うのなら、見てみますか?」
「え……?君は誰?」
突然、俺の目の前に現れたのは、女神のような恰好をした女性だった。
彼女はなにものなのだろうか。
「私は時間と空間をつかさどる女神です」
「やっぱり女神なんだ」
「そこまでいうなら確かめてみますか?」
「なにを?」
「パラレルワールドを」
「そんなことができるんですか?」
「ええ、過去にもどって、あらゆる可能性を検証可能です」
「それはいい。ぜひやってくれ」
「後悔はしませんね?」
「なにを後悔する必要があるんだ?後悔ならもう十分した」
「では……まいりましょう」
すると、俺は光に包まれた。
次に目を覚ますと、俺は中学生に戻っていた。
これはいい!
これなら、可能性を試せるぞ。
俺はそのまま、しばらく中学生として過ごした。
そして、仲のよかった子に告白してみた。
だけど、結果はだめだった。
「友達としか見れないの……ごめんなさい」
「そっか……」
まあ、仕方ない。
でも、俺にはあらゆる可能性を試すことがゆるされている。
他の可能性を試せばいいだけだ。
俺はそっから、クラスのいろんな子と、付き合えないか試した。
チャレンジしては、振られた。
なかなか彼女をつくるのはむずかしいようだ。
今まで努力してこなかったからわからなかったが、もしかしたらこのままじゃだめなのかもしれない。
俺は少し、身だしなみに気をつかったり、努力をしてみた。
彼女をつくるために、あらゆる努力をして、俺は高校生になった。
中学生では彼女できなかったけど、まだ中学生でははやいもんな。
あきらめるにははやすぎる。
高校では、あらゆる可能性をためして、彼女をつくろう。
俺は最初の一周目では、彼女を作る努力をしなかった。
だけど、最初から彼女をつくる努力をすれば、俺は彼女をつくれるはずだ。
彼女をつくった世界線に、移動するんだ!
俺は高校でも、あらゆる可能性をためして、彼女をつくろうとした。
だけどだめだった。
どうしてなんだ。
そして、大学生になった。
大学でもできなかった。
なんでなんだろう。
俺はめちゃくちゃがんばってるのに。
そしてあっという間に、もとの年齢になった。
「おい女神、どういうことなんだ。もう一回やらせてくれ。もっと可能性をたしかめる必要がある。まだやってない、まだ試してないことがある!」
「どうぞ、何回でも」
俺はまた中学時代に巻き戻り、試していない方法をあれやこれやと試し、俺に彼女がいるパラレルワールドを探す。
だけど、それはいっこうにみつからない。
体感時間で、俺は数千憶年分ほど、あらゆる可能性を試した。
しかし、どこにも俺に彼女がいるという世界線はみつからない。
どういうことなんだ。
「おい女神。いったいどういうことなんだ。説明してくれ」
「いいでしょう。残念なことに、あなたには一生、絶対、なにがどう転んでも、彼女ができない。そういう星のもとにうまれたのがあなたなのです」
「はぁ……!?」
「世の中のほとんどの人は、パラレルワールドのどこかでは彼女ができていたりします。だけど、あなたの場合はそういうことがない。あなたはあらゆるパラレルワールドの中で、彼女ができないんです」
「そんな馬鹿なことってあるのか!?」
「残念ですが、これにはどうしようもありません。私もどうにかしてあげたいんですがね……。だけど、そもそも可能性の中に存在しないのだから、どうしようもありません」
「もっとよく探してくれ!どこかにあるはずだ!俺にだって、チャンスが!俺だっておしかったんだよ。もう少しで付き合えたんだ!なあ、もう一回やらせてくれ」
「探しました。あなたのために、私も女神の力をつかって、ありとあらゆる可能性を検証しました。ですが、どこにもあなたに彼女のいる世界線はないのです。ほんとうにお気の毒だと思います。こういった人はめったいにいません」
「そんな、そんな酷いことってあるのかよ。俺がなにしたんだよ。俺前世でなにしたんだよ」
「あなたのせいではありません。ですが、そういう世界なので、どうしようもありません」
「じゃあ、これからの可能性は?俺がこの先生きていけば、彼女ができる可能性があるんじゃないのか?俺はいっぱい努力するよ!」
「それも、残念ながらないのです。過去未来、すべての世界線において、あなたに彼女ができる可能性はありません」
「そんな……!」
俺はこんな人生クソだと思った。
死にたいと思った。
「じゃあ、俺はどれだけ努力しようが、なにをしようが、どの世界でも彼女ができない人間ってことか?」
「そうなりますね……」
女神は俺をあわれむ目でみた。
こいつは、いいやつなんだろうな……。
俺のことを本気であわれんでいる。
なんとかしようとはしてくれているんだよな……。
あれ、こいつなんかよく見たら可愛いな。
てか、女神なら、人間じゃないから、ワンチャン彼女になるんじゃね?
俺は口を開いた。
「なあ、女神……俺の彼女にならないか?」
まさかこの可能性までは、世界も考えていまい。
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