12/25 【読む】四谷軒「嵐神(バアル)こそわが救い ~シチリア、パノルムスに吹きすさぶ嵐~」


・「嵐神(バアル)こそわが救い ~シチリア、パノルムスに吹きすさぶ嵐~」

https://kakuyomu.jp/works/16817139555452694605


 紀元前二五一年のシチリア・パノルムスにて、ローマの執政官のメテッルスは、戦象部隊を率いて迫りくるカルタゴの将軍のハスドルバルを迎え撃とうとしていた。二人の因縁は、その少年期にまで遡る……。ローマとカルタゴが戦った、第一次ポエニ戦争を題材にした歴史短編小説。

 私が主催していた自主企画「問えば響く君の答え」の「雨を降らすのは誰?」への参加作品。


 今作の舞台は第一次ポエニ戦争だが、私のローマとカルタゴに関する知識はお粗末なもので、ヒラコー先生の漫画『ドリフターズ』にハンニバルとスピキオが出てくるなぁ(キイチゴじいちゃん好き)と、SCPで渡るとカルタゴに対して憎しみが湧いてくる橋があったなぁというくらいである。カルタゴの場所を知らなかったので、今回初めて調べてみた。

 そんな私でも、ちゃんと面白く読めた。特に、象を動物園かサーカスでしか見たことのないのでピンとこないような、象を使うという戦い方も、臨場感たっぷりに描かれるので「おお」と興奮した。


 それでいて、ちゃんと象が怖いだけじゃないところがたまらない。最近、競馬を見る影響で、「人間に尽くす動物」がツボになっているので特に……。動物が人間の言うことを聞くのって、最初はエサがもらえるからというものだったとしても、後々にそんな損得勘定を越えた何かがあると思うのよね(力説)。

 で、ハスドルバルとメテッルスの関係も良い。敗者に対しても、その実力と勇気を称える……命をやり合ったからこそ友情も素晴らしかった。こういう高潔さこそ、失ってはいけないのだと強く思う。
























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