12/14 【読む】麻々子「かとりせんこう」
・「かとりせんこう」
→https://kakuyomu.jp/works/16816452219866142573
近々町から引っ越す予定のある「私」は、親友と共に、隣家を覗いてみる。空き家だと思っていたそこには、着物姿のおばさんと、もう一人の住人がいた。夏の京都・西陣を舞台にした、幼い子供たちの幻想譚。
こちらは私が主催していた自主企画「問えば響く君の答え」の「雨を降らすのは誰?」の回に参加してくれた一作。
問いかけの意味合いとしては、雨は自然現象だと知っているとしても、あえて「雨を降らせる誰か」がいるようなイメージの物語を狙った。メルヘン系や子供が問いかける話が多いかなぁと思ったけれど、実際にそのような結果になったのではないだろうか。
「かとりせんこう」も、京都の女の子が主人公。地元の言葉で話しながら、無邪気に遊ぶ情景の中に、不思議さと怖さが忍び寄ってくる感覚が良い。余韻も深いお話だった。
それから、個人的には「かとりせんこう」というタイトルも好きだ。「雨」の問いかけなのに、「雨」がタイトルに入っていない大胆さ。いや、恐らく既存の作品に、例の問いかけを入れたからこうなったのかもしれないけれど。でも、蚊取り線香の使い方が印象的なので、ぴったりだ。
古都と呼ばれるだけあって、京都には怪談がよく似合う。不思議との距離が近くて、お化けも恐ろしいだけの存在ではない気がする。京都弁も相まって、生活の強い匂いを感じるお話だった。
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