(6)

 デンジャーとクールを乗せたヘリは上空を飛行していた。

 そのヘリの中ではクールはデンジャーとは少し離れた席に座り、冷凍睡眠装置で眠っている少女が居た場所について話していた。


「それで地下通路の先に幾つもの扉があってだな。その奥に少女が眠っている冷凍睡眠装置が有ったんだよ」


「なるほど……。だが、その装置とかは、ちゃんと動いていたのか」


「ああ。機械とかにはなんの損傷も無かったし、ちゃんとそれには電気も通っていたぜ。中の人間も生きているようだったし……」


「そうか……うん」


 デンジャーの脇から電子音が鳴り響く。音の発生源は携帯電話機だった。慣れた手つきで携帯電話機を取り出し、受話口を耳にあてる。


「わたしだ。そうか、解った。作業を続けていてくれ、すぐに向かう」


 デンジャーの口元がニヤつき、チラッとクールに視線を向けた。


「……クール、とか言ったな」


「うん?」


「オマエさんの情報は正しかった。感謝する」


 首を傾げるクール。


「ただ、名も知らぬ者には不相応の礼だったかな。だから、オマエさんの名前を覚えてやろう。光栄に思い感謝しろ、クール」


「どういう……」


 言葉の真意を訊ねようとクールが立ち上がろうとした時、


――パカッ――


 クールの足元の床が突然開き、


「っ!? うわわわわわァァァァァァっっっっっーーーー!?」


 クールは大きな声を叫びながら、外へと落ちていったのだった。

 デンジャーは、その光景に高笑いをしつつ、クールが側に置いていた大金が入ったケースを手に取った。


「オマエさんにくれてやるよりオマエさんが見つけてくれた完全人間へ有効活用した方が、この金も喜ぶだろう」


 再びデンジャーは笑った。

 ヘリコプターは目的地……少女が眠る場所に向けて飛行し続けた。


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