(3)

 大型のヘリコプターが灰色の空を翔けていく。

 タンデムローター式の大型輸送用ヘリコプターで、乗員数は五十人ほど搭載できる。その巨体を飛行するために、大きな二つのプロペラがけたたましい音を響かせ空を飛行していた。


 ヘリのキャビン内は豪華に改装され、振動が一番少ない中央に椅子が設置されている。その座り心地は最高のものだった。その椅子に強面の男…デンジャーが座り、ナイツを含む五人の黒服の男たちが周辺に設置されている簡易椅子に座っていた。


 ふとデンジャーが、暇潰しにと自分の横に設置されているモニターに映しだされている外の景色を眺める。壊れた建物や瓦礫で埋め尽くされた大地は、空と同じように濁った色に染まっていた。


「この辺りは未だ手付かずか……」


 そう独り言を呟いたが、他の男たちは反応することもなく黙っていた。狭いヘリの中に大の男たちが詰め込まれており、重苦しい空気が漂っていた。


「やれやれ……」


 デンジャーは数多くいる女中の一人でも連れてくれば良かったなと思いつつ、さっさと目的の場所へと着くことを望んだ。


 暫くして、目的地の小高い丘が見えてきた。

 一番高い場所にはバンダナを巻いた青年が待ち構えていた。青年は近づいてくるヘリコプターを見上げながら、右腕を高々と挙げて手を振り、大声で叫んだ。


「おーい! ここだ! ここ!」


 青年の声はヘリコプターのプロペラ音にかき消されてしまって届かなかったが、ヘリコプターは青年の下に徐々に下降していった。ヘリコプターが大地に近づくにつれて巻き起こる旋風が強くなり、砂埃が舞い上がった。バンダナの青年は腕で風や砂埃から目を守りながら着地を待った。


 何事もなく無事に着地したヘリコプターの中から、まずサングラスをかけた男、ナイツが降り、その後に体格の良い男たちが続いた。

 その男たちは降りると同時にそれぞれの武器、銃を取り出し、銃口をバンダナの青年に向けた。


 男たちの不躾な行為に対抗して、青年も自分の身を守るために銃を手に取った。

 一触即発の雰囲気の中、ヘリコプターから強面の男‥デンジャーが降りてきた。

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