アメリカ暮らし

 

第1話

 7時にスマホのアラームが鳴った。僕はアラームを止めて起きると、カーテンを開けた。そこには雲ひとつない青空が広がっており、昨日までずっと雨だったと思えないほど清々しい天気だった。


 部屋を出てダイニングに行くと、ママが朝ごはんの準備をしていた。


「おはよう、ママ」


「おはよう、ビル。朝ごはん、もう出来てるわよ」


 テーブルには、ベーコンエッグとトーストが置かれていた。僕がトーストにSKIPPYのピーナッツバターを塗って食べていると、ルークからMessengerが来た。


【7時半までには着くから準備しておけ】


【わかった】


 メッセージを送ると、僕は急いで朝ごはんを食べた。食べ終わると、ママがテーブルに茶色の紙袋を置いた。


「お弁当忘れないでね」


「ママごめん。今日は弁当いらないんだ」


「水曜日は午後まで授業があるんじゃなかった?」


「いつもはそうだけど、今日は違うんだ」


「……そうなの」


 それから僕は歯を磨き、服を着替え、カバンの中を確認し家を出た。家の前で5分ほど待っていると、ルークが僕のことを車で迎えに来てくれた。助手席に乗り込むと、ルークが僕に険しい表情で質問した。


「忘れ物はないか?」


「ちゃんと確認したから大丈夫」


「……そうか。それならいい。ビル、何か聴きたい曲はあるか?」


「珍しいね。いつもクラシックばかり聴いてるルークが僕にそんなこと言うなんて。今日は鉄の雨でも降るんじゃない?」


「わかりきった冗談はやめろ。で、何が聴きたいんだ?」


「じゃあ、SiMのThe Rumbling」


 車の中でそんな会話をしていると、1時間目の授業が行われる教室に着く頃には、時間は8時4分になっていた。


「おいおい、今日はギリギリだな。ファゴット共。また二人でイチャイチャしてたのか?」


 ラグビー部のエースであるライアンが煽るようにそう言ったが、僕たちはそれを無視した。8時5分になるとベルが鳴り、教室にいる生徒全員が立ち上がった。そしてアメリカ国旗に向かい、左胸に手を当てい忠誠の誓いを暗誦した。それが終わり、皆が席に座ると同時に僕たちはカバンから銃を取り出した。そして、無差別に銃を乱射した。

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アメリカ暮らし   @hanashiro_himeka

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