長谷川祐樹2



「はあ、疲れたー」



結局俺は、大翔のおかげでぎりぎりで宿題を終わらせて、何とか居残りを防ぐことができた。



そして、今は大翔と下校している最中だ。



「結局全部人の写したくせに何が疲れただ」



「写すのにだって体力は使うんだよ」



大翔は相変わらず毒舌を吐きながらも、一緒に帰ってくれている。



こんな温度差が大きすぎる俺らは、対局だからこそ釣り合っていたのかもしれない。



普段話すのはほとんど俺だが、聞いてないようにしながらも反応はしてくれて、俺は大翔に何かと助けられていた。



そして、俺は大翔に一人になりたくないという理由だけで近づいたはずなのに、今は俺にとって大事な存在に変わっていた。



そんなことにふと気づいた俺は驚き、どこかで喜んでいた。



俺はずっとこんな存在を求めていたのかもしれない。



今までいろんな人とかかわってきたが、いつも俺は自分のために人を利用していることに後ろめたさを感じていた。



誰とでもかかわれることは、誰も大切ではないということなのではないかと、いつもどこかで思っていた。



今でも暇が嫌いでそのために大翔と一緒にいることは変わっていないが、それでも大翔はもう俺にとって誰でも良い存在とは違っていた。



……そんなことを大翔に言ったら、本気で軽蔑されそうだが。

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