第37話  サーカズムなんかに乗せられないぞ!

 日本人が何年アメリカにいても慣れずにすぐからかわれてしまうのが、米人のサーカズム、すなわち、冗談のこもった皮肉である。


すごく醜い物を見ながらも、「ビューティフル!」と真面目な顔で言われると、違った文化から来る相手が言っていることからして、もしかして、本当に美しいと見ているのかと信じそうになってしまう。


時には、怒りを込めて皮肉たっぷりに言う場合もある。例えば、大変迷惑なことをしでかしてくれた相手に向かって、

「サンクス・アロット!(ありがとさんよ)」と礼?を言うなどもその一例だ。


常に冗談か本気かを探りながらの会話を米人とし続けるのはかなり疲れる作業でもある。


真奈はそれが面倒なので、基本的にはまず言葉通りに意味を取るようにしたものだから大変!


 親しくなったアメリカ人の同僚たちは、真奈がなんでも言葉通り取ることを知って、超真面目な顔でサーカズムを使って混乱している彼女の様子を楽しむことを趣味とし始めた。


 アメリカ人はそういったジョークが大好きだから、真奈も彼らに合わせて真面目な顔をしてサーカズムを使ってお返しすることで対抗した。


 すると、日本人がサーカズムを使うとは予期していなかったアメリカ人が、今度は逆に引っかかってくるから愉快だ。


 文化の違いは、こうして一緒に笑い飛ばすことで楽しい時間へと形を変えてくれることもある。


To be continued...

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