You decide the ending.

 私は、この話を、自分に共感してほしいという承認欲求のために、コンテストに応募している。

 だが、あくまでそれは、三の次であり、第一は、この一件、収束のための記録。そして、私の主張の正当性の確認を、二の次としている。その点を踏まえ、後者第二の目的に利用できると考え、コンテストに応募した。

 が、そのコンテストの為にこの一件を一旦完結させなければならない。

 本末転倒である。

 最後に、もし、私が、彼・太郎への復讐を実行に移した際、裁判で彼に向けた主張をこの場で、記載しておこう。


『モナ・リザ』

 ダ・ヴィンチの人物画にして、世界でもっとも知られている絵画だが、同時に、『世界で最もパロディ作品が作られた美術作品』でもある。

 もし、誰かが、「この女性に、この背景は似合わない。」と云って、背景を黒く塗りつぶしたら…。

 もし、誰かが、円山応挙の『幽霊画』に、「私は、足のある幽霊を見たことがある」と、足を付け足したりしたら…。

 貴方達はどう思う?


 彼は、それと同じ事をしたのだ。人と人の繋がりのように、立場が置き換われば、事は、重大なことなのだ。

 これは、完全に私個人の思考だが、絵画には、二種類の価値観がある。一つが、金銭的価値。これは、オークション等の売買に関する価値。そしてもう一つが、芸術的価値である。 私は、この芸術的価値が、全ての、彫刻、絵画等の美術作品だと、同等の物だと考えている。

 『モナ・リザ』も『幽霊画』も私の絵も、全て価値は、等しい。個性的で、時に清く、時に情熱に訴えている。見に来た者に、感動を与える。

 その感動を傷つけ、奪った彼・太郎。

 それに憤怒し、彼自身を傷つけた私。


 貴方に尋ねよう。どちらが悪かったのだろうか。

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