ダンジョン突入
カロナが気絶しないうちに、ダンジョンに向かうことになった。
●ダンジョン情報『ゴブリン迷宮192』 マルチタイプ
タイプ :洞窟型
属性 :地
賞金 :一人当たり2万5000円
レート :1HP=200円
突入条件 :HP200以上
カロナの企業勢初ダンジョンに選ばれたのは、標準的なダンジョン――実はダンジョンマスター側の生成サンプルで、ゴブリン&洞窟の組み合わせが一番上にあるため、亜種が非常に多い――であった。
ダンジョン入り口にて、アカリが振り返って皆に声をかける。
「さて! 今日はこのゴブリンダンジョンを攻略してくよ! カロナちゃん、ゴブリンダンジョンの注意点は分かるかな?」
「ふぇ!? え、えーっと、ご、ゴブリンが出る、とか?」
突然の先輩からのフリに、カロナはとっさに思い浮かんだ答えを口にする。
プッ、と思わずと言った形で小さく笑うユキ。
「そりゃあゴブリンダンジョンなんだから、ゴブリンは出るわね。……いきなり私を笑わせるなんて、この新人有望が過ぎるわ。ねぇソラ君?」
「まったくだ。ちなみに正解は、ゴブリンが雑魚とは限らないので侮らない、名前詐欺に気を付ける――の2点だ」
[@tam323]:”おお、確かに”
[じょあ坊]:”あー。ゴブリンにも色々あるもんなぁ。ホブゴブリンもゴブリンだし”
「あ、なるほど……確かに、メジャーなだけあって幅広いアレンジが多いですものね」
「あと単純に名前がデフォルトに数字つけただけ、っていうのが逆に罠だったりもするんだよね。ダンジョンの説明文部分は公開する際のチェックが厳しいから誤魔化せないんだけど、非公開にはできるの。そういうところは特に怪しいから気を付けようね!」
「わかりましたわ、アカリ先輩!」
カロナはビシッとアカリに対して啓礼する。
「ちなみにここは説明文非公開でした!」
「『気を付けようね』とは一体!?」
「諦めなさいカロナさん。アカリはそういうことするのよ」
ぽむ、とユキがカロナの肩を叩いて励ます。
「だって敵が分かり切ってるゴブリンダンジョンとか、配信映えしないじゃん……? 私たちはエンターテイナーでもあるんだよユキちゃん!」
「それは否定しないけれども……今日は新人との交流が目的なんだから加減なさいな」
「ま、賞金から難易度を考えると……ゴブリンと言いつつオークが通常モンスターとして出てくるようなことまではあり得ると想定しておけ、カロナ」
「は、はい! そうですわねソラ先輩!」
賞金は説明文以上に誤魔化せないし、隠すこともできない。
ある意味絶対的なダンジョンの指標となるものだった。
「それじゃ、行こうか! 私はいつも通り前衛ね!」
「カロナさんは遊撃、好きに動いて頂戴」
「はいですわ!」
「……あまり遠慮してると、見せ場無く終わってしまうかもしれないからな?」
[コムーンC]:”ソラ様のありがたい忠告……! がんばれ新人!”
[@beruki]:”がんばれお嬢、見せ場を作るんだ!”
早速ダンジョンの洞窟に、カロナたちは潜っていった。
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