クラス転移で異世界に召喚された俺、謎スキル『笑劇展開』のせいで追放されてしまうが、実は最強のスキルだったので、ケモ耳幼女と一緒にスローライフで無自覚無双します!
第6話 男子高校生、スローライフを始める
第6話 男子高校生、スローライフを始める
「スローライフ……。スローライフって何?」
「自給自足しながら、ゆっくりする生活のことフェソ」
「自給自足って、山や海で生活でもするの?」
「フェソ!」
「そんなので、俺のスキルを鍛えることができるの?」
「フェソ! スローライフをするということは、スローライフじゃないということフェソ」
「ごめん。言っている意味がわからない」
「まぁ、百聞は一見に如かず。とりあえず、やってみるフェソ」
「……わかった」
早志よりはスキルについて詳しそうなフェソソソの言うことなので、いったんは信じてみることにした。
それに、山や海での自給自足の生活は何かの修行になりそうではあるし。
「よし! じゃあ、早速やるフェソ!」
――ということで、二人は街の外れにある河原へとやってきた。フェソソソはある断層の前まで早志を案内すると、断層を指さして言った。
「この断層からは上質な粘土が取れるフェソ。この粘土を使って、土器を作るフェソ」
「……いや、スローすぎない? 何で土器?」
「人間の歴史は土器を作るところから始まったフェソ」
「歴史を感じようとしてんじゃん。やっぱり、スローすぎるって」
「うぅ、フェソは泥遊びがしたいフェソ」
「そっちが目的じゃねぇか」
早志は呆れ顔になる。他にやらなくてはいけないことがある気はするが……。
(まぁ、でも、逆に良いのかもな)
早志は現状を受け入れるのが難しく、動揺している状態だ。しかし、フェソソソと一緒に泥遊びをすることで、その辺の心理面で落ち着きを取り戻すことができるかもしれない。
「わかったよ。やろう」
「わーい!」
そして、早志は土器づくりを始める。と言っても、土器なんて作ったことがないから、適当に粘土を掘って、それらしく形を整えるだけだが。最初は、渋々やっていた土器づくりも、徐々に熱中し始める。ただ、こねて形を整えるだけの作業だけだったが、それでも奥深さのようなものを感じ始めていた。
「ハヤシィ、見て見て」
見ると、フェソソソが光沢のあるきれいな泥団子を見せてくれた。早志は素直に感心する。
「すごいじゃん」
「へへっ、そうでフェソ。ハヤシにあげるフェソ」
「え、ありがとう」
正直いらないが、フェソソソの無邪気さを無下にすることができなかった。
そんなこんなで、土器づくりを楽み、新たな土器を作ろうと粘土を掘り出した際、早志は粘土の中から赤い宝石を発見した。
「何だこれ」
フェソソソがじっくりと宝石を眺め、目を細める。
「これは、『レッドドラゴンの玉石』フェソ」
「『レッドドラゴンの玉石』?」
「レアアイテムフェソ」
「どうしてそんなものが、ここに?」
「昔はこの辺にもレッドドラゴンがいた可能性があるフェソ」
「……なるほど。ある種の化石ってことか。これは高いの?」
「人間界の相場はわからないけど、きっといい値段で売れると思うフェソ」
「へぇ」
「ふわぁ」とフェソソソが欠伸して、眠そうに目をこすった。「ちょうどいいタイミングだし、今日のところはこの辺にして、一度街に帰るフェソ」
早志は頷く。確かに空が橙色に染まり、帰宅するのにちょうどいい時間ではある。
「……そうだな。フェソソソはどうするの? 山? に帰るの?」
「ここで会ったのも何かの縁フェソ。解説妖精として、ハヤシをサポートしてやるフェソ」
「ありがとう。俺としてもその方が助かる」
「それじゃあ、手を洗って、街に帰るフェソ!」
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