第9話 ライブハウス
ジリリリリリ…ジリリ…電話が鳴る。
ここは札幌市中央区にあるライブハウス
まだ昼間だから営業はしていない。
ジリリリリリ…それでも鳴り止む気配がない。ようやく、オーナーが電話を取る
「
あの、もしもし…」女の子の声だ。
「何のご用でしょうか?」
「このライブハウスは高校生のコピーバンドでも出演できるのでしょうか?」
いつもの放課後、部室では譜面を見ながら、あーでもないこーでもないと話し合ってる。
「ねぇ、そんな事よりも何の曲にするかを先に決めなきゃいけないんじゃない?」
響子が諭すように言い含める。
「いや、曲は1年前から決まってるんだ。」
机にひとつの譜面を置いた。
「Rock And Roll」。全身を撃ち抜かれた曲だ。
「みんな、あの時の衝撃、覚えてるよな?」
「もちろんたぜ!」
「おっ、やっとツエッペリンやる気になったか!」
新井が嬉しそうに部室に入る。
「やっとって、どういう事ですか?」
「お前等は、もう、随分前からツエッペリンが出来るような位に腕が上がってるんだよ!」
「うおー!マジっすか!」全員が盛り上がる。
「そこでだ…境井」
「はい」と響子が皆を見ながら、
「今度のライブはライブハウスでやります!」
盛り上がると思いきや、誰も何も言わない…
「あれ?」響子が首をかしげていると、
「ライブハウスって、あれだよな?プロがやるやつ…」浩二が言った…。
「そうだけど…………」
と、響子の声が静かになった部室に響く…。
「うおぉぉぉっ!」時間差で皆が沸きだした!
「俺達はプロだー!」
「やったぜー!」
「あの、盛り上がってる所、悪いんだけど…」響子がなだめるように
「ライブハウスって言っても、ワンマンライブじゃないのよ。何組もでる内の1つ。まっ、お祭りみたいなもんね。」
「なんだぁ〜」皆の力が抜けるのがわかる。
「そこでだ!」と新井。
「今夜は部活の課外活動とする!」
「今から、そのライブハウスを見に行くぞ!」
…また、拉致られた…
そのライブハウスは見た目は小さく、階段を降りると、小さな扉、細い廊下と続いている…
さぞかし小さなホールなんだろうと思っていると…そこには、250人は入るであろう大きな空間の中に歓声を上げている客の前に爆音を鳴らし、叫び声にもにた、ボーカルの声が、響いていて…4人組は浮かれずにいられない…
「おっと、盛り上がりたいのは分かるがな、帰るぞ!」
もっといたいと名残惜しそうにしている4人組に、響子が、「あの広い場所を私達だけでいっぱいに出来ると思う?」
「俺達なら出来るよ!」興奮した涼介が目を輝かせながら、息巻いていた!
「あのね、路上ライブ、何人集っていた?」
「……3人です…」
「ライブハウスに出ようと思ったら、オーディションも受けないと行けないし、チケットを売らないといけないんだから、その辺、わかってよね!」
「はい…」
「まずは、ツエッペリンの曲を覚える!路上ライブをしながら、宣伝する!
いい、目標30人よ!」
「はい…」
「わかったら、さっさと戻るわよ!」
「オマエの妹、こんなにたくましかったっけ?」
浩二がうなずきながら、「いつも、こんな感じだ」
「何か言った!」響子が睨みつける。
「いいえ、何でもありません!」
響子…怖い…そう思う4人組だった。
「で、今度のライブはいつなんだ?また、2週間後とか、嫌だぜ」涼介が、覗き込みながら聞くと
「安心して、半年あるから、ライブイベントはクリスマスよ!ロマンチックでしょう♪」
半年あれば何とかなる…と涼介の考えを見透かすように…
「オーディションは来月だからね」
来月とは…また、2週間後か…
軽音部、3回目の合宿…もとい、泊まり込み。
オーディションと言ってもデモテープだけのものだったので、なんとか合格。良かったと胸をなでおろす時をあたえず、「次はライブハウスでの本番オーディションよ!」響子が檄を飛ばす!
まだあったのか…皆が泣きそうになっていると、
「あっ、あの4人組が、泣いてるって言いふらすんだからね〜」
「それだけは、やめてくれ!」
それだけはイヤだ!それだけはイヤだ!と練習に力が入る。
そして、オーディションの日。
試験管?の2人が椅子に座りながら、
「はい!バンド名を言って!」
「…ザ・青春バンドです…」
「声が小さい!アンタそれでもボーカル?」
「もう一度!」
「ザ・青春バンドです!よろしくお願いします!」
「よろしい!では、君達のタイミングでいいから、始めて」タバコに火をつけながら、男性が言った。
「は、はい!」
1 .2.. 1.2.3.4..浩二のスティックが鳴る
オーディションに合格!でも、マネージャーのダメ出しはあった。
色々、言われた中で特に言われたのが、「ハモれ!」
「ハモれ?」なんですか?それ?
「よかったじゃないですか〜合格できて」
「後で聞いた話ではね、誰でも合格出来る先着順のイベントだったらしいんですよ。」
「何ですか、それは?」笑いながら聞くと
「あれは多分、マネージャーの愛だったと思いますね、みんなスグに調子乗りますから…」
「いよいよライブですね!」
「その前にあるんですよね…」
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