第11話 星
「君が生前に闘病中、君の担当医はずっとそのデータを取っていたそうだ。」
「投薬や検査、その他症状の経過、観察など様々な分野でな。」
「そして君の没後、暫くしてそこで新たな事実が発見された」
「え?」
「病気の発症要因、有用な薬及び対処法、予防に繋がる発見だ」
「まだ実用化はされてないが、近い将来新薬も開発されるだろう」
「不治の病とされていたものがそうではなくなる可能性が見えてきた」
「つまり、病気で不幸な人生から幸福な人生を歩める
同じ病で苦しむ者達の希望の星となるだろう」
「その点を考慮して君の採点内容に反映させてもらった」
「そっか…私、生きてる時、何にも出来なかったけど…」
「それ聞いてちょっと安心した」
私はこみ上げてくる熱いものを堪え、悔しさと嬉しさとが入り混じった
感情を飲み込みぐっと唇を噛んだ。
……。
…………。
「では、改めて君の行き先を伝えよう」
「No.516 中村理沙 享年36歳」
「採点結果 334/500点」
私は空になったコーヒーカップを見つめ
そして静かに目を閉じた。
「そなたは現状維持とする」
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