第10話 細い糸

目の前で色んな事が起こって私は半ば混乱していた。

そして変更された私の点数…誤差と言うには余りにも大きい。

一体何があったんだろうか?


 「ここは時間の流れが現世とは違うんだ」

ケンは窓の外を見つめ話し出す。

 「まぁ、今風に言えば『時空が歪んでる』とでも言った方が分かりやすいか」


 「君がここへ辿り付くまでに一時間、

  そしてここで私と話をし始めて合わせて約二時間が経過した」

 「その間に地上がどれくらいの時が流れているか分かるかい?」


 「いえ、分かりません」

 私は見当もつなかったので素直に答える。


 「おおよそ1ヶ月だ。」

 「え?そんな…」


 「先にも伝えたように君の死因は病死だ そしてそれは難病であり

  地上の現在の医療では治療法がなく、やむなく30半ばで若くして没した」


 「はい、悔しいけど受け入れるしかないです…」

 「大した事は成し得てませんが、やりたい事…というか、やり残した事

  は今になってたくさん思い出されます」


 「そうか…」


 「君は病気を発症してからずっと治療を続けていたね

  そして最期の数週間は病室で過ごしていた」


 「はい、検査や投薬治療を続けていたと思います」

 「一縷いちるの望みにかけて…」

 「その事が私の点数と何か関係あるんですか?」


 「あぁ」

  ケンは私の目を真っすぐ見つめながら言った。

 

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