第8話 また出会うその時まで

「さて結論に入ろうか、少し長話が過ぎたな」


ケンは懐から携帯のようなものを取り出し何かを入力した後

高島のその書類に印を押しサインした。



「No.520 高島孝弘 そなたは保留とする」



「え?」

ずっと俯いたままだった高島は顔を上げる。


「天国でも地獄でもない、新たな命として再び現世に戻るがよい」

「採点結果だけ見れば地獄行きは確定だが

 協議の結果、情状酌量の余地を認めてこの判断を下す」


「人間として生まれ変わる事は許されぬが、

 新たなその生を全うした後、またここに来るがいい」


「はい、どのような形でもまた命として生まれ変われるのなら

 来世では後悔のないよう生きたいと思います…」

 

高島は私達の方に一礼すると扉の奥から現れたリンに手を引かれ

部屋を出て行った。


高島を見送った後、リンがまた部屋に戻ってきた。

そして手に持っていた書類のようなものをケンに手渡す。

それに一通り目を通した後、ケンは深く息を吐き私を見つめた。



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