第2話 五日前……。

「かんちゃん、卒業したら二人で旅行に行かない?」

「やだよ!もう、兄弟になったんだし」



俺の名前は、榎村勘太郎えのむらかんたろう


で、俺の隣にいるのが榎村昴えのむらすばる

旧姓は、服部はっとりだ。



母と離婚して10年目を向かえた俺の父と夫を亡くして10年を向かえた昴の母親が再婚したのは、今からちょうど一年前の出来事だった。



俺達が、高校二年の12月25日に二人は入籍したのだ。


俺と昴は、もうすぐ高校を卒業する。


だから突然昴は、卒業したら旅行に行こうと言い出したのだ。



「かんちゃん、冷たい事言わないでよーー」

「やだよ」


俺と昴は、中学からの同級生だ。


家が近所だったから、よく昴が母親の料理をタッパーに入れて持ってきてくれた。



時々、家族ぐるみで外食に行ったりとかして……。



気づけば二人は、交際していた。



結婚をする気はないと言っていた二人だったが、一年前入籍を決めた。

昴の母親の妊娠がきっかけだ。


45歳という高齢出産。


昴の母親の体の事を考えて父親は再婚を決めた。



昴は、結婚を凄く反対していた。



「かんちゃん、僕ね。かんちゃんと兄弟とは思ってないよ」


五年も暮らしているというのに、突然5日前に、昴は俺にこう言ったのだ。


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