ノエルの日記(後編)
File6
今日は少し事態が好転した。
先日、街内の至る所にゲリラ的に電子広告が配布されるという事件が勃発したのだ。
その電子広告には、仮面の男の演説動画が添付されていた。演説と言っても
そんな謎の
話題の
これを重くみた市は警官隊を派遣したが、その警官隊の中に混じっていたK.A.Cが花火を使った派手な演出で登場。
後から聞いたところによる、どうやら、
彼らのパフォーマンスに組織と
その様子を、ロビンは自身の
私達姉妹も何体かの
タハラさんとロビンはテヴューのところへ。
そして私はヴァイパーさんと一緒に、
普段ならここで行われる
私達の最終目標は
彼の手駒の多くは
しかし、この爆弾さえ解除できれば、
だが、
その
二足歩行する鰐のような姿をし、その両手に刀を握る二刀流の
この
だが、ヴァイパーさんは怖気づいたりはしなかった。
私を助けてくれた時に見たのと同じように、敵の動きをより早く察知し、紙一重で攻撃を避けると、鰐に向けて銃弾を放ち続けた。
鰐の動きはその巨躯に関わらず俊敏ではあったけど、それはヴァイパーさんの比じゃない。
ヴァイパーさんはそんな強敵相手に善戦し、遂には鰐の脊髄を銃弾で砕き、行動を停止させた。
「お前もじき自由になる」
意識を失いかけた
結論から言えば、私達は
「暫くは奴もこれまでみたいに大きな権力を振るえんだろ」
ヴァイパーさんは悔し気に歯噛みしながらも、そう呟いた。
File10
3月31日。逃亡生活最後の日。
街を自由に歩けるようになったお祝いに、私達は真夜中にロビンに連れられ、ヴァイパーさんの行きつけという焼肉屋に向かった。
この焼肉屋は今時珍しく、本物の鶏を店長が絞めて捌いた焼き鳥を提供しているのだとか。
焼き鳥は私も大好物で、その話を聞いた瞬間思わず涎を垂らした私は、お姉ちゃんに嗜められてしまった。
あのK.A.Cのパフォーマンスの日、組織顧問のテヴューはタハラさんにより警察に引き渡され、組織は事実上の活動停止。これまで放置されていた
顔が鰐に噛み潰されたみたいになっていたその死体を見つけたのはカインで、五指に宝石を煌めかすその手は残っていたが、胴体はズタズタに切り刻まれ、腕も綺麗に左右対称に切り取られ、まるで二本の刀で同時に切断されたようだ、と警察は語ったと言う。
「とは言え直ぐにまた同じようなとこが出来るだろうな」
ロビンは焼き鳥を物凄い速さで食べながら、そんな諦観的なことを言った。
「組織と
タハラさんは酒瓶を片手にそう語った。
お姉ちゃんは、事態が収束しても、ロビンの元でお手伝いさんをすることに決めたらしく、私もそれに付き合うことにした。
ヴァイパーさんはどうするの?
私が聞くと、ヴァイパーさんは少し考え込む素振りをしてから、カインを見た。
「またスラムに戻って、依頼を待つ生活に戻るよ。あんたも人探しの依頼があったらいつでも来なよ」
そう言う彼の笑顔を見て、私はちょっとドキッとした。
「どうせその時は私も駆り出されるんだろ。クソヴァイパー」
拗ねたように悪態をつくロビンを見て、今度は皆で笑った。
File11
4月1日。今日から新生活。 特筆すべきこと、なし。
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