容赦なき粛清(後編)
刑務所の中で私が聞いた情報をもとに理解した、ことの顛末。
あの日、テヴューの襲撃の日。我々が掴んでいた「テヴューが廃駅に現れる」という情報は、間違いでこそなかったが、現場で炎に包まれた同志の言葉通り、
そして
こちらは我々とは違い、情報を掴まされたのではなく、
それでも敢えて私を動かしたのは、自身の率いる組織の中に蔓延っている我々のような異物を排除するため。
そしてまんまと情報に踊らされ、廃駅を訪れた
しかし、襲撃のことを知っていた
生き残った我々も警察の手に渡り、こうして刑務所の中へ、というわけだ。
実際、こうして我々が──いや、私がしでかしたことをまとめると、確かにテヴューに
刑務所の中でも、アウトホールシティの抗争は終結し、
今は
――なんてことだ。
その立ち位置には、我々が座る筈だったというのに、愚かを晒しこうして塀の中で口惜しい思いをする他ないとは……。
だが、これで終わりにしてなるものか。
──本気で一世一代の博打を打つというのなら、もうちょっと慎重に行動せねばなるまいな。
地に伏せられた私に、テヴューが口にしたそんな言葉を思い出す。まさにその通り。
私は功を焦るあまりに、慎重さに欠けていた。
幸い、塀の中にも同志になりそうな者達は少なくない。看守達もまた、仕事熱心ではあるが、彼らがたまに零す愚痴を聞けば、未だにこの街に対して不平不満の種が残っていることは当然明らかだ。
――きっと、今からでもやり直す。
「なあ君、この世界に不満はないか?」
私は刑務所の食堂の中、沈んだ顔で食事をしている囚人仲間に声をかけた。
正直なところ、テヴューを襲撃した頃の私には柔軟さが足りなかった。
その境遇や生まれから仕方なく犯罪に手を染めなくてはならなくなってしまった。そんな犯罪者はこの街には少なくはない。
勿論、クヴァトのようにもう後戻りすらできないほどに黒く染まってしまった悪人も大勢いるが。だが、刑務所内にいるほとんどの罪人は好きで犯罪に手を染めたわけではない。人は生きるためには何でもする。
きっと私の声が届かないことの方が多いだろう。だが、その中に一人でも。
一人ずつでも我々、
我々はまたやり直せる。そして次こそ我々の時代だ。
助護センターを襲撃してから後も、屈辱に耐え忍ぶことには慣れている。
そうなれば、次に粛清されるべきは我々ではなく、我々を利用した愚か
私は刑務所の中でそう決意し、新たな同志を見つけ、いつかの復讐を待つことにした。
……To be continued.
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