言い間違い
中央文藝部
第1話
言い間違い
「小さい子の言い間違いってかわいいよねぇ」
「かわいいよねぇ。うちの子もあったなぁ」
というママさんたちの会話が隣のテーブルから聞こえてきた。
分かるよ、分かる。舌足らずな小さな子供の言い間違い、それはただ可愛くて癒される。
そういえば、うちの子は「くつした」を「つくした」、「すべりだい」を「すりべだい」と言っていた。他にもあったとは思うのだけど、もう今更思い出せない。
大人からすると、余計に言いづらいのに、不思議なものである。ひらがなだけにして見ると、文字並べ替えクイズのようだ。クイズ王たちが、秒でボタンを押す様子が目に浮かぶ。
言い間違えの次は、勘違いが登場して笑わせてくれた。ある日小学校から鼻歌混じりで帰った次男、
「『あー、〇〇君鼻歌うたってるー』って女子に言われたんだけど、俺さー、ハナウタって歌、知らないんだけどー?」と首を傾げて鼻歌混じり。
「ストップ!今!今のが鼻歌!」
「え?今?うたってないよ?」と鼻歌混じり。
「いや、だから、今のそれ!」
スポーツ用品店に部活用品を買いに行ったときのこと。ウロウロ店内を歩いていると、ピンポン〜とチャイムが鳴り、続いて「レジ応援お願いします」と放送が入りました。きっとレジには行列ができていて、品出ししてるスタッフが駆け寄るのでしょう。忙しい時間帯だよね、と思っていると、そこで次男、「お母さん、俺が応援に行ってくる?レジの近くで応援すればいいの?」と真剣な顔して聞いてくる。いやいや、あんたがウロチョロしてたら余計に邪魔だよ…とは言わなかったが、
「そうだね、フレーフレーってレジの人の応援しておいで」と言えば良かった。
そんなかわいい勘違いならまだいいが、半世紀も生きてきた昨今、いつしか言い間違いや勘違いは日常茶飯事となった。そして、勘違いだったのかと気付いても、今更バージョンアップされないのだ。
毎日SNSに上がり、まだ入会しないのかーと勧めてくるチョコザップであるが、先日まで私はチョイザップだと思い込んでいた。いや、チョコザップなのか、チョイザップなのかあやふやだった。だって、チョイと運動するの?ちょこっと運動するの?どっちなんだ?自信のない言葉はなるべく使わずに会話をする術を習得しているのであるが、迷った挙句にチョイザップがさー、と会話の中で使ったところ、チョコザップだよーと笑いながら指摘をされたのだった。そうか、チョコザップだったのか、ちょこっと運動する方だったのか。しかし、未だ脳内機能がバージョンアップされることなく何かの拍子でチョイザップと言ってしまいそうでもある。
小さい子の言い間違いは癒やされていたのに、
おばさんの言い間違いは、訂正した方がいいのか、笑った方がいいのか、スルーした方がいいのか、どうも相手を悩ませてしまうようだ。
でも大丈夫。安心してください。指摘されても笑って誤魔化す知恵や、とぼける知恵が充分ついてますから。
言い間違い 中央文藝部 @nasuyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。言い間違いの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
スタート/中央文藝部
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
スマートな親切/中央文藝部
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
方向音痴って直らないと思います。/中央文藝部
★4 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
♣︎アリス・4(フォー)♡♡♡♡最新/プラチナサファイア
★3 エッセイ・ノンフィクション 連載中 130話
アドスコア日記2024最新/喰寝丸太
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 361話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます