天妃物語10
「
そこにあった光景に背筋が冷たくなりました。
上空で
巨大な犬の姿をした
夜空に出現した四体の怪物に
羅紗染の瞳が暗く輝く。
「とうとう、ぐっ……とうとう復活した! この世を
羅紗染が
そうすると上空の怪物がぎょろりと私を見下ろし、憎悪が増したように邪気が
「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」」」」
「っ、このままだと……」
「オレがくいとめる!!」
紫紺が結界を発動しました。
すると
紫紺は
私もそれに合わせて神気を強めましたが、
「無駄なことを、お前たち
羅紗染が血を
それに
「ぎゃあああああああああ!!!!」
転がり落ちた羅紗染の頭部を
「ど、どうしてだ……っ。なかまだったんじゃないのか?」
「……
だからかつての私は
羅紗染を食べた
……これは、よくない事態ですね。
ビリビリした空気に呼吸が浅くなってしまう。でもここで
「……紫紺」
「なんだ」
「今から
「えっ?」
紫紺がハッとして私を見上げました。
私は紫紺を見つめ、真剣な顔で言葉を続けます。
「
そこから言葉が続けられませんでした。
封印が失敗すれば私は魂ごと食い破られます。そうすれば
「っ、……失敗はしません……っ」
「ははうえ……」
「なんとしても、私が封印します。もう一度……!」
「は、ははうえ、だめだっ。ふういんしたら、ははうえは、また……」
紫紺が泣きそうな顔で言いました。
やっぱり優しい子ですね。今から発動する私の封印術がどんなものか察しているのです。
ああ私の宝物、絶対に守ってあげます。あなたの生きる世界が光と
「さあ、こうして
そう言って私は上空の
私は気丈に見据えて
「ぐるぐるぐるぐると……、私を馬鹿にしていますね。いいでしょう。私があなた方を封印するか、あなた方が私を食い破るか、勝負してあげます!!」
「ははうえ、やめろ! それはダメだ!!!!」
紫紺が悲痛な声で叫びました。
ごめんなさい、今は聞いてあげられません。
私は神気を爆発的に高め、
私を食い破らんと
私はまたすべてを
そんな中、最後に思い出してしまったのは黒緋でした。
黒緋は天帝でありながら、私を探すためだけに地上へ降り立ったのです。充分でした。それを知れただけで充分でした。
黒緋は私を愛してくれたのです。それを知れただけで、私は……。
「お願いですから笑顔でいてください。――――私の
そっと言葉を紡ぎました。
そして突進してくる
――――ドゴオオオオオオオオオオオオ!!!!
私は
視界いっぱいに黒緋の背中が映っていたのです。
そう、黒緋の強烈な拳が突進してきた四体を殴り飛ばしました。
突然のことにシンッと静まり返ります。
でもそれを破るように紫紺が声を上げました。
「ちちうえだ!! ちちうえがきた!!」
紫紺が黒緋に向かって駆けだします。
興奮した紫紺を黒緋が抱きとめました。
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