1:25の男女比で普通に生きる男

隠し事

俺は扉に耳を当てると外の様子が聞こえてきた。

「おい！離せ！｣

「どこのもんか聞いとるんやけど？こっちの質問に答えてもらわななぁ〜さて、ああなりたい？」

ドゴォン！！という音が扉を伝って聞こえ来た。

これ、絶対ママだよな？

「わ、分かった！分かったから！私たちは解放会海外支部なんだよ…あの男の情報を追ってこっちに来たんだよ」

「ほんまか？」

「本当です！ほらっこれを見てください！」

「…ホンマモンみたいやな。じゃあ寝とけや」

「え？…うっ…」

何かを振るような音が聞こえると人が倒れる音が聞こえた。

「はぁ…またかいな。これで何度目や」

「仕方ないでしょ。アキラの情報はばらまかれたんだから…ねぇ？」

「…ふぅー、左様か。はぁ〜まぁ戻るとしよか」

コツコツとこちらに向かってる音が聞こえ、俺は直ぐに扉から離れる。しばらくすると扉が開かれた。

「帰ったで！」

夕陽はグッと伸びをするとプチッという音が聞こえた。ママはそれを見て、ため息をついた。

「また？」

「ほんまボロいもんやで。このブラ」

夕陽が着替えを始めたことで俺はそっぽを向く。

俺がいるところで勝手に着替えるんじゃない！

俺の行動を見て、一花は話しかけた。

「あの…アキラがいるんですが？」

「別にどうでもええやろ？」

「えぇー…それよりも外はどんな感じでした？」

夕陽は少し考え、面倒くさそうな顔をした。

「…海外のもんやわ。ほんまに情報ばらまいとったみたいでな。まぁ気にせんでええわ」

一花はそうですか…と不満のある表情をしているが、考えても無駄かと携帯を触り始めた。

俺は夕日の言った言葉に少し疑問を抱いた。

（なんで解放会の事を言わないんだ？ママも訂正しなかったし…大丈夫なのか？）

「なんやアキラ！考え事して！ほらっ！ゲームするで！」

「あっうん…まぁいいけど」

ママをチラッと見ると手をグーパーしている。その度にゴキゴキと鳴っており、かなりの力があるのがわかる。だが、何か変だ。

「ママ、どうしたの？」

「ん？…ん〜まぁ気にしなくていいわ」

「ふーん…まぁママたちが入れば大丈夫かな？」

「えぇ大丈夫よ…ええ…本当に」

ママは何か悪い笑みを浮かべている。

本当に大丈夫なのか？

「あ〜そや！アキラ、あんたに頼みがあるんやわ」

「俺に？」

「せや、あんたここに暫く住まへんか？そうやな〜2年くらいな」

「はっ？急に？」

夕陽は俺が疑問符を浮かべる顔を見て、真剣な表情をし、俺を見る。

「…ちょっとした願いやわ。頼む」

「まぁ別にいいけど？」

「よし！事情は後で話す！ゲームするで！それとも運動のどっちがええ？」

「…じゃあ運動で」

「ほんならアイツ以外は外に行こか！」

夕陽は立ち上がるとママに目をやる。ママはその視線に気づき、うなづいていた。夕陽が扉の方へ向かうともう一度俺たちを呼ぶ。

「はよ動け！さもな…あ〜いや！はよ行くで！」

夕陽は何か含んだ様子で外へと出ていった。

俺達はその後をついて行ったが、その時のママは何か武器を作っていた。

それはまるで人を殺すための武器のようなものを。