本日は悪い日
「何でお前がいるんだ!夕陽!」
ママは掴まれた手を振り払うが、その人は軽く受け流す。ママは立ち上がるとポニーテールの女がママに距離を詰める。
「そりゃなにかあったらまずいやろ思って中にバレんと侵入しとったんや…ほんま怒りに任せてやったらあかんよ?じゃないと…私がやらなあかんなるやんか?」
「へぇ?私に勝てるとでも思ってるの?全勝してるのは私なのにね?強気でくるね〜?」
2人がバチバチしている中、橘さんはその隙に逃げようとしている。それを見た俺は七星の他の人たちに手で指示を出す。七星たちは頷き、橘さんを取り押さえる。
「は、離して!」
「「「「「ダメ!」」」」」
「「よく捕らえた!」」
バチバチしていた2人は手際よく橘さんを縛り上げるとパンパンとハイタッチしていた。
仲はいいみたいだ。
「ママ?その人は?それと元帥って何?」
「バレたら仕方ないわね。簡単に言えば、警護人の祖と言えば分かるかしら?警護人の最初の人ってこと、この人はその補佐。名前は夕陽よ。苗字は知らないからどうでもいいわ。黒いスーツがその証拠、今は着てないけど、いつもは着てるでしょ?」
今思えば、外に行く時や家で在宅するとか言ってた時、全て黒いスーツを着ていた。
それが証だったのか…と感心していると俺の顔に夕陽が近づけてきた。
「苗字はないからええよ〜アキラくんだよね〜やっほ〜話は聞いているで〜賢いんだよね〜」
夕陽は俺に小さく手を振った。
ポニーテールの人は確か七星の中にいなかったはず…?一体誰だ?
「あの…誰かに扮してました?」
「…へ〜いいね!君!私の予想の回答とバッチリやわ!ええなぁ〜!じゃあ答えるわな!それはな」
ビシッとある人を指す。それは一花だった。
「その人の後ろにおったんやわ。身長とか同じやろ?髪の毛と服装さえ合わせばこっちのもんなんや。ウィッグっちゅうもんもあるしな。気付かへんかったやろ?」
夕陽は後ろのポケットから小さく折りたたまれた髪の毛を取りだした。あれがウィッグなのだろう。
「本当ですか?でも、みんな集まってたんじゃ?…一瞬の隙を見て抜け出した?無理じゃないか?」
「正解や!言うのは簡単やけど、ホンマに難くてな!あるタイミングを見計らって動いたんや!んで、着替えてこの状態やわ!ええなぁ〜ほんま欲しいわぁ〜!うち来る?なぁ?うち来るか?」
夕陽ははしゃぎすぎて俺の手を取り、ぴょんぴょんと跳ねる。俺の方が大人に感じるのは何故だろう。
ママは夕陽の襟を掴むと後ろへと引っ張る。
「なんでも欲しがる癖をやめなっていつも言ってただろう?それに私の子はあげない!」
「ちぇっ…くれたってええやん!私は子供が出来ないんやから!欲しいやん!」
「ダメに決まってるだろうが!養子を取れって何度も言ってるだろう!」
なんだ場の雰囲気が暗くなってきたので、俺は助け舟を出すことにした。
「あ〜うん!とりあえずここからどうするんだ?」
「おっと!ごめんな〜まずはこの橘があることがあってな〜いや〜ほんまおもろいで?」
ハハハッ!と笑い始めた夕陽は橘さんに近づき、その顔を踏む。
「こいつ、海外に男の情報を流しとったんやわ」
「「「「「ッ!?」」」」」
「それって確か…」
「簡単に言えばスパイみたいなもんやな。判明した場合、即座に島流しってやつやわ。簡単に言えば死ぬしかないってことやな」
「だ、誰の情報を流してたんだ?」
「アンタや、アキラ。アンタ、これからまずいことになるで?だから、うちらが…」
すると、橘さんが血を吐き始めた。
「かはっ…これで…逃げれ…ない」
「お前!…おい!起きろ!おい!」
ママが急いで駆け寄る中、俺は一花によって耳と目を塞がれていた。俺は一花に抱きしめられたまま、外へと連れていかれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます